試合レポート

徳島商vs徳島北

2010.10.03

2010年10月02日 オロナミンC球場

徳島商vs徳島北

2010年秋の大会 第63回徳島県高等学校野球秋季大会 準決勝

一覧へ戻る

龍田祐貴投手(徳島商2年)

徳島商、「磐石」で2年ぶり秋季四国大会へ!

4回までは8対0と5回コールドを見据える戦いから一転、最速139キロと鋭い横スライダーが武器のエース龍田祐貴(2年・右投右打・172cm71kg)が降板した6回以降は両者に得点が入り続ける乱戦に。

スコアボードをだけを見れば読者の皆さんは「表題に誤りあり」といわれるかも知れない。しかし、2年ぶり28度目となる秋季四国大会進出を決めた徳島北戦における徳島商の戦いは「磐石」への過程としては最高の試合だったと筆者は敢えて断言したい。

その理由は今年4月にOB指揮官として就任した森影浩章監督の「狙いを持った采配」にある。過去、那賀富岡西小松島と決して強豪校といえない学校を全て四国大会に導き、小松島では春3度、夏1度甲子園に導いたことから「森影マジック」とも徳島県高校野球関係者から称される知将は、この試合でも激しい動きを見せた。

1回一挙4得点から2・3回と無得点に終わった打線には「インコースのストレートを引っ張るな!また同じことを繰り返すつもりか!」と怒りをあらわにして、相手エース・坂東拓哉(2年)生命線であるアウトコースの変化球に的を絞らせて4回の4得点につなげ、大量リードを奪うと龍田を始め次々と選手交代、ポジション交代を行うことで決勝戦への緊張感を持続させるベンチワークを披露。

「コールドできるところでできなかったし、スキがある」とこの日4打数4安打、秋季大会通算17打数12安打、打率7割6分と大爆発を見せている1番主将の増富太鳳中堅手(2年・右投左打・173cm58kg)は7回コールド勝ちにもほとんど笑顔を見せなかったが、それは裏を返せば指揮官の意図が約半年を経て選手たちに完全に浸透している表れだろう。

それでも試合後には「6・7回に守備の乱れ(2失策1暴投)から失点し、先頭打者がライトゴロに終わる悪い流れからよくコールドまで持っていった」と選手たちの反発力を敢えて賞賛した森影監督。もし、この反発力もセンバツ出場へ向けて全て計算された布石であったとしたら・・・。四国大会でも磐石への過程を重ね続けるであろう「森影マジック」。その動向には今後も要注目だ。

(文=寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.26

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.26

低反発バットなど関係ない!“飛距離モンスター”マーティン・キャメロン(東海大札幌) に大爆発の予感!

2024.06.25

【南北海道】函館支部では第3シードの函館西と函館大有斗が初戦に挑む【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【南北海道】室蘭支部では、第2シード苫小牧工が代表決定戦進出を狙う【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.26

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】