試合レポート

東海大相模vs慶應義塾

2014.09.22

東海大相模の吉田が13奪三振、完投勝利

 [stadium]保土ヶ谷球場[/stadium]、準々決勝の第2試合は、慶應義塾東海大相模の好カード。試合開始前から既に観客席は超満員である。

 慶應義塾は3回戦で横浜を8-1の8回コールドで下すなど、一番波に乗っていると言えるだろう。一方、今夏、甲子園に出場した東海大相模は、この秋季大会、予選を免除され本戦からの出場で、こちらも危なげなく準々決勝まで勝ち上がってきた。

 数日前の週間予報では、降雨も予想されていたが、秋雨前線が南下し、台風16号の進路が予想より西へそれたこともあり、秋晴れの野球日和となった。気温24.7℃、湿度44%、ライトからレフトへの風3.3m/s。
13時、試合開始のサイレンが鳴った。

 先発投手は、東海大相模吉田 凌(2年)、慶應義塾津留崎 大成(2年)。吉田は今夏の県大会決勝で20奪三振の快投を演じ、チームの甲子園出場に大きく貢献。甲子園のマウンドも経験した。一方の津留崎も夏の県大会で登板、好投している。
秋季大会ながら、経験、実績、共に十分の両エースによるレベルの高い投手戦が期待された。

 先攻は慶應義塾。チャンスは3回、東海大相模のサードのエラーと、その後の送りバント処理で併殺を焦ったショートの悪送球、さらに四球と、ノーヒットで1死1、2塁とするが、3番柳町 達(2年)の鋭い打球はショート正面のゴロで併殺となり無得点。続く4回、先頭の4番木村が四球で出塁し、5番津留崎の送りバントで1死2塁となったところで、6番亀川が3遊間を抜くレフト前ヒットで1、3塁とチャンスを広げる。ここで7番橋本は中途半端なスクイズでピッチャーへの小フライに倒れ、チャンスを潰したかに見えた。しかし、続く8番水久保の打席で吉田のスライダーがワイルドピッチとなり、慶應義塾にラッキーな先制点が入る。


 一方の東海大相模は2回、先頭の5番豊田 寛(2年)のショートへの内野安打の後、続く6番千野 啓次郎(2年)の送りバントで1死2塁とし、さらに3塁への盗塁が成功して1死3塁の先制のチャンスを迎えたが、7番磯網の打球は浅いセンターフライとなってタッチアップならず、後続も倒れて無得点。さらに3回、1死後、1番杉崎 成輝(2年)が外の球を上手くセンター前に運び、2番宮地も1、2塁間を抜くライト前ヒットで続きランナー1、2塁のチャンスとなるが、3番川地がセカンドゴロの併殺に倒れ、得点できず。しかし、続く4回、先頭の4番長倉 蓮(2年)が3塁線に痛烈な2塁打を放つと、1死後、津留崎のワイルドピッチで進んだ3塁ランナーの長倉が、6番千野のセカンドゴロの間に本塁に還り、1-1の同点に追いつく。

 両チームとも、併殺でチャンスを潰した後、相手のワイルドピッチで得点するという同じような形で、互いに譲らず、試合は1-1のままグラウンド整備に入る。

 試合が動いたのは6回。東海大相模は2番宮地のレフト線への2塁打と3番川地の送りバントで1死3塁とすると、4番長倉が1ボール2ストライクから慶應義塾の前進守備の3遊間を破るレフト前ヒットで貴重な勝ち越し点を挙げる。

 一方、慶應義塾は8回表、先頭の3番柳町が四球で出塁したが、盗塁に失敗し得点できず。その裏、東海大相模は先頭の1番杉崎が右中間に大飛球を放つも、センターの大川がダイビングキャッチのファインプレー。追加失点のピンチを脱し、良い形で最終回の攻撃に入る。

 しかし、最終回、慶應義塾は代打攻勢を仕掛けるも、2死となり、最後は1番山崎のバットが吉田のスライダーに空を切り、三振。東海大相模慶應義塾を2-1で振り切り、準決勝進出を決めた。

 東海大相模の先発、吉田は慶應義塾打線に対し13奪三振の快投。最後まで直球は走り、スライダーのキレも衰えなかった。しかし、慶應義塾打線は、三振を多く喫する一方で、吉田のストライクゾーンからボールになるスライダーを良く見極め、吉田から5四球を選んだ。一方の慶應義塾の先発、津留崎は与えた四死球はゼロ。津留崎も素晴らしい投球内容だった。

 安打数は東海大相模が8で、慶應義塾が6。安打数の割に、慶應義塾の方が塁を賑わした感があるのは、この四球の差によるものだろう。問題は8回の慶應義塾の攻撃。終盤に入り、まずは1点取って同点にしておきたいこの場面で、せっかく無死、四球で出塁した走者が盗塁を敢行して憤死。終盤、制球に苦しみかけた吉田を楽にしてしまった感があり、もう少しじっくり攻めても良かったかもしれない。しかし、やはり要所を締めた吉田のピッチングは見事だったと言えるだろう。

(文=松田祥二郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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