市立岐阜商vs大垣商
市立岐阜商・服部
市立岐阜商、猛攻12点 エースだけのチームじゃない！
市立岐阜商の打線が爆発した。投打の大黒柱・秋田千一郎ばかりが注目される中、「秋田だけじゃない」と言わんばかりの猛攻。毎回得点で5回コールド勝ちを収め、東海大会切符を手にした。
初回の市立岐阜商の攻撃で、試合が決まったと言っていいだろう。大垣商・生駒健吾監督が敗因に挙げたのは、1死2塁の場面で出た、挟殺プレーでのエラーだ。3番井尾優太が放ったショートゴロで、大垣商の遊撃手が送球をランナーに当ててしまい、1死1、3塁とピンチが広がったからだ。
その後、4番秋田千一郎が敬遠で歩くと、二死後に6番堂本賢慎がレフトへタイムリーツーベースを放ち、市立岐阜商が先制した。この堂本の一打を、市立岐阜商・秋田和哉監督は「相手は初回から（秋田）千一郎を敬遠して、勝負をかけてきたわけですから。あの場面で堂本が打ったのは大きかった」と称えた。
火がついた市立岐阜商打線は、その後も止まることを知らなかった。中でも強いインパクトを残したのは、2本のホームランを放った左バッター・服部大樹だ。1本目は2回表、ライトへ放り込む3ラン。2本目は4回表に、風にも乗ってセンター左の中段へ突き刺さるソロホーマー。4打席目にもタイムリーを放ち、この日6打点と活躍した。「逆方向への打撃を意識して、肩が開かないようにしながら、引きつけて打つようにしているのが、ホームランにつながった」と自らの快打を分析。「夏前から調子が良かったけれど、夏はベンチに入れなかったので、人よりもたくさんバットを振ってきました」という。4番秋田が警戒される中、この181センチ・88キロの5番バッターも要注意だ。
傍から見れば200点満点の勝利に、「たまにはこういうゲームがあってもいいかもね。自信がつく」とは市立岐阜商・秋田監督の談だ。春、夏と公式戦で連敗した大垣商に雪辱を果たし、4年振りとなる秋の東海大会出場を決めた。今秋県大会で優勝候補最右翼と目されるチームが、期待通りに勝ち進んでいる。
敗れた大垣商・生駒監督は「野球になりませんでした。チームは、力の無さを思い知らされました」と気を落としながらも、「いい舞台で試合をやらせてもらっているので、どれだけ明日（3位決定戦）できるかです」と次戦へ向け気持ちを切り替えた。捉え方によっては、負ければ1点差も10点差も同じこと。ここからが、大垣商の粘り強さの見せどころだ。
（文＝尾関雄一朗）
