沖縄尚学vs那覇商
後半にポテンシャルを発揮した知念大成
145Kmをマークした沖縄尚学・知念
立ち上がりはそこまで悪くなかった知念大成が4回にエラーをきっかけに崩れる。那覇商3番宮城文弥に二塁打を許すと、続く平良彰悟には同点犠飛。ツーアウト目をとったものの、6番當銘壮太にレフト前へのタイムリーを放たれ逆転を喫した。
「4回を終えて、いつ変えようかとは思っていたが」と、比嘉監督は継投を思慮にいれたが、ここから知念大成が気を入れなおすように好投。5、6、7回を三者凡退に斬り、流れをもってくる。すると8回表、沖縄尚学は代打で送った普久原琳がライト前ヒットで出塁した。
終盤、まずは同点にしたいところだろうが比嘉監督は常々、上を目指すならここぞという場面で連打を生み、大量点を奪わねばならないと考える指揮官。それまで打席凡退していた具志堅柊輝(しゅうき)に送らせることなく任せると、その具志堅がライト前で続いた。次打者が送って二、三塁とチャンスを拡げると池間大智が四球を選び満塁。ここで打席に向かったのが一年生4番の水谷留佳(るか)。初戦のコザとの戦いで先制の2点打、1点を返された直後にも打点を挙げた男が期待に応える。引っ張った打球がライト前へ転がり同点となった。なおも一・三塁だったが、ここは那覇商先発の當銘が気合をいれ、センターフライに打ち取った。
しかし、延長に入ると打線はまたもや沈黙。すると10回裏、那覇商はサヨナラのチャンスを迎えた。この回先頭の金城知孝がライト前ヒット。代走を送り犠打で二塁へ。沖縄尚学・知念は次打者にデッドボール。自らが招いたピンチだったが、ここから再びスイッチが入る。三振、サードゴロで脱した。10回からの3イ二ングノーヒットと、らしくない沖縄尚学だったが13回、ようやく本来の姿を取り戻す。
具志堅がレフト前へはじき返すと盗塁成功。12回の守備から就いた比嘉大智も同じくレフト前ヒットで続く。一、三塁かと思いきや、打者走者の比嘉が二塁へ。明らかに相手を誘うプレーだったが、二塁へ転送されたボールに三塁から本塁へ向かった走者が間一髪セーフ。このプレーで那覇商野手陣は若干気落ちしたか。後続も四球とエラーで満塁。6番仲里光が2点タイムリーを放つと前里武久仁(まえさと・たけくに)も2点適時打で続いた。12回まで6安打だったのがこのイニングだけで5安打を集め大量6得点。このリードに、140球を越えたその裏、143kmをマークするなど力でねじ伏せた知念大成が完投。試合途中最速145Kmを記録した大黒柱に「そのくらいのポテンシャルを持っているのは分かっている。」と指揮官。179cm70kgの快速サウスポーが、チームを九州、そして頂点へと導いていく。
(文=當山雅通)
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