吉田vs新居浜高専
甲子園経験監督、「凄みの采配」で吉田地区に1勝届ける!
「平成30年7月豪雨」に伴う山崩れ、浸水などにより貴重な生命も亡くなる事態が生じるなど、現在日々の生活を取り戻すために前に進もうとしている宇和島市吉田町。その吉田地区唯一の高等学校である愛媛吉田が、新居浜高専に6回コールド勝ちを遂げた。
この試合、最も頑張ったのは11安打を放ち、10四死球を選び、4回裏には打者12人でつないで7点をあげて、かつ新居浜高専を5安打完封した選手たちであることは間違いない。ただ、その裏には2010年夏には宇和島東監督として、済美に愛媛大会決勝でサヨナラ勝ち。11年ぶり8度目の甲子園に母校を導いた土居 浩二監督の「凄み」があった。
特筆すべきは1点リードで迎えた4回表二死満塁のピンチでの采配だ。ここまで4安打・3四死球を許しながらも要所を踏ん張ってきた先発・辻 郁弥(3年・165センチ52キロ・右投左打・宇和島市立城北中出身)が新居浜高専1番・村上 龍生(2年・捕手・170センチ59キロ・右投右打・西条リトルシニア出身)に対し2ボール0ストライクとすると、指揮官は迷いなく1年生・眞田 秀虎(169センチ50キロ・右投右打・宇和島市立城北中出身)へリレー。そして眞田は見事に3球で三振を奪いピンチを脱出。その裏に7得点をあげる流れを呼び込んだ。形にとらわれず即断即決する様は、まるで宇和島東時代の恩師である故・上甲 正典監督を思わせるものだった。
「吉田地区の皆さんに元気を届けたい」。その一心で指揮官・選手たちが同じ方向を向いたこの勝利を土台として、愛媛吉田は次戦の相手・新居浜東にも立ち向かっていく。
(レポート=寺下 友徳)