履正社vs作新学院
簡単にアウトにならないところが王者の強さ 終盤のビックイニングで作新学院下す
7回にタイムリーを放った桃谷惟吹(履正社)
「本当にアウトにならない、繋がっていく打線。甘い球を一球で仕留めることがうちに足らなかったところ。それをされた履正社さんが一枚上手だった」
試合後に小針崇宏監督が語った言葉が履正社打線を象徴していた。
履正社が6回までに放った安打は3本と決して多くは無かったが、打者の一人ひとりが簡単にアウトにはならず、作新学院の先発・林勇成を粘り強く攻めていた。その6回までの粘り強さが、7回の猛攻を呼んだのである。
7回裏、履正社は一死満塁から、代打の岡本一聖が押し出し死球で1点をもぎ取ると、ここから1番・桃谷、2番・池田、3番・小深田による怒濤の3連打で一気に逆転。
その後も、6番・西川黎の左中間へ走者一掃のタイムリースリーベースなどで追加点を奪い続けた履正社は7回だけで9得点奪い、そのまま9対2のコールド勝ちで作新学院を下した。
試合後、作新学院のエースだった林は履正社打線の脅威と自らの力不足を口にし、周囲の和気藹々とした雰囲気とは裏腹に反省しきりだった。
「自分の実力不足です。履正社はみんななかなかアウトと取らせてもらえず、無失点に抑えててもキツかったですね。体力がありませんでした」
この試合の結果を、林が今後の野球人生にどのように活かすか楽しみである。
ドラフト候補の井上広大(履正社)
「調子はよかったので、どこかで点は取れるかなと思ってました」
履正社の岡田龍生監督は試合を振り返り、打線の好調ぶりを笑顔で称えた。
引退後に、体重が増えた選手もいることを明かす岡田監督だが、6回までの攻めについても及第点を与えて次戦の選手たちの奮闘にも期待を口にした。
そしてドラフト候補として名前が挙がる井上広大も、引退後に体重が増えた一人だ。
引退前よりも、4キロほど体重が増加したことを恥ずかしげに明かす井上だが、この試合から身体を絞ることの重要性を感じた様子を見せた。
「体重が増えて強い打球はいくようになりましたが、身体にキレが無くなったように思います。(第1打席のライトへの大飛球も)入ると思ったのですが、伸びなかったですね」
すでにプロ志望届は提出済みで、ドラフト指名に向けて最後のアピールとなる今大会。最後に意地を見せることが出来るか注目だ。
(文=栗崎 祐太朗)