浦和学院vs浦和工
新生・浦和学院、5回コールドで好発進。森大・新監督が初陣飾る!
浦和学院先発・渡邉聡之介
「甲子園から帰って来てバタバタした中、前監督のやって来たことを引き継ぎつつ、新たなテーマである“自律”してやっていこうと。緊張はしていたが楽しそうにやっていたんで良かったと思います」(森大・新監督)
今夏で監督を退任した浦和学院の森士・前監督に代わり、秋から指揮を執るのは長男の森大氏である。[stadium]県営大宮球場[/stadium]第一試合、公式戦初采配は前の試合で最終回6点差を逆転し勢いに乗る浦和工との一戦となった。
試合の前に、森大・新監督に代わり、まず変更点としてユニフォームを現状の縦縞から往年のアイボリーカラー、オールドユニフォームに戻したことが挙がる。
「自分達がこのユニフォームで戦った最後の代で、私が見ていた浦和学院というのは自分達より上の世代、三浦貴さんなどを見ていたという私の憧れもあり、原点回帰、浦和学院の伝統をということで戻しました。新しい帽子は県大会には間に合わせます」(森大・新監督)
新生・浦和学院がユニフォームも変更し試合に臨む。
試合に戻りスタメンだが、浦和学院は3番・ショートに金田優太(2年)が入り、主将の八谷晟歩(2年)や宮城誇南(2年)はメンバーには入っているが現状ではスタメンを外れている。一方の浦和工は前の試合と全く同じスタメンである。
先発は浦和学院が1年生右腕・渡邉聡之介、一方の浦和工はエース大谷崚公(2年)が登板し試合が始まる。
先制したのは浦和学院であった。
初回、先頭の大勝朱恩(2年)がライト前ヒットを放ち出塁するが二盗に失敗する。それでも、続く大内碧真(2年)が四球を選び再度チャンスメイクすると、3番・金田がレフト線へタイムリー三塁打を放ちまず1点、二死後、5番・高山維月(2年)もショート強襲のタイムリーを放ち幸先良く2点を先制する。
芳野大輝(浦和学院)
浦和学院は2回裏にも、この回先頭の渡邉がレフト線へ二塁打を放ち出塁すると、続く鍋倉和弘(2年)もレフト線へタイムリー二塁打を放ち、まず1点、さらに9番・江口英寿(1年)がきっちりと送り、一死二、三塁とすると、続く大勝がセンター前タイムリーを放ち4点差をつける。
これで完全に勢いに乗った浦和学院打線はその後も攻撃の手を緩めなかった。2番・大内の四球と続く金田のピッチャー強襲安打で一死満塁とし4番・伊丹一博(2年)がレフト前2点タイムリーを放つと、続く高山も一死二、三塁からセンター前2点タイムリーを放つ。二死後、7番・渡邉がライト線へタイムリー二塁打を放つと、続く鍋倉も右中間へタイムリー三塁打を放つなど結局この回一挙8点を奪うビックイニングとし試合を決めた。
投げては先発・渡邉が3イニングを無失点に抑えると、4回からは甲子園でも登板した左腕・芳野大輝(2年)、1年生右腕・月野龍、左腕・西田稀士郎(2年)とつなぐ。
打線が3、4回も着実に得点を追加した浦和学院が結局5回コールド13対0で勝利し県大会出場を決めた。
まずは浦和工だが、勢いそのままに王者にぶつかっていったが、この日は玉砕した。
「序盤は前の試合の勢いは残っていたがチャンスを作ったところでのバント失敗や一本が出なかったところで受け身になり、相手の点差がどんどん広がっていき厳しかった」
と、石川監督がこの試合を振り返る。エース大谷も前の試合同様に110kmほどの直球にスローカーブを交え、頭を使い投げていたが、この日はそのスローカーブを狙われてしまった。
監督も唱えていたが、今後はまずフィジカル強化に取り組み、強豪相手に善戦まで持ち込めるようにチーム全体のスケールアップを心掛けていきたいところか。
一方の浦和学院の宮城、金田を含めた投手力は盤石だ。
「うちは元々守備と投手力を基盤としてやって来たんですが、甲子園から帰って来て、新たに“長打力”をテーマに掲げている。まだまだ吉田匠吾や三奈木亜星など3年生を相手のシートバッティングなどでは全く打てていないですが、今後好投手が相手になった時に長打や強烈なヒットなどをどれだけ打てるかがテーマとなる」(森大・新監督)
と、“長打力”向上へその取り組みは始まったばかりだ。
森大新体制のテーマは“自律”。これは新チームですぐに体現できる課題ではないが、選手達は
「甲子園特有のスピード感についていけなかったことが敗戦にもつながった。当たり前のことだが守備位置までのダッシュやフライを上げた時の全力疾走など凡事徹底することを新チームになって一番意識している」(金田)
と、甲子園での敗戦を受け、課題と向き合っている。未だ発展途上の新生・浦和学院が県大会でどこまで仕上げられるか。森大・新監督のお手並み拝見といきたい。
(取材=南 英博)