駒込vs駒大高
粘り強い駒込学園、またしても接戦を切り抜ける
東東京ベスト8の最後の一つのイスを争う戦いは、字面で言うと「駒駒決戦」ということになった。
駒大高は文字通り、駒澤大学の直系の系列校でユニホームも大学と同じデザインのものを用いている。
1999年春に甲子園出場があるが、夏は、過去2度の決勝進出を果たしているものの、都立国立、都立城東といずれも都立校に破れて甲子園を逃している。
駒込学園は、文京区千駄木の住宅街の一角にある、一部中高一貫の私学である。ほとんどグラウンドはないに等しいといっていいくらいの環境だが、それでも選手たちはそんな中で独自の練習で励んでいる。週末には、水谷浩延監督自らバスを運転して遠征をしながら、チーム強化をしてきた。
そして、この大会では、ここまでエース市谷君が一人で投げて接戦を勝ち上がってきた。
この試合も、市谷君と駒大高・鈴木翔君の両投手が走者を出しながらも、辛抱の仕合の投手戦という雰囲気で始まった。
3回を終えて、お互いが毎回走者を出しながらも、あと一本が出ないまま、いくらか歯がゆい展開となっていた。
そして迎えた4回、駒込学園は2四球もあって、1死一三塁としたところで、8番大川君の思い切りよく振ったバットは上手く打球を乗せてセンター頭上を破っていく2点二塁打となった。ある程度失点が計算出来る市谷君だけに、駒込学園にとっては、貴重な先制点だった。
市谷君は、決して球は速くないものの、制球力がよく、自分の有利なカウントで自分のペースで投球を作れるというタイプの投手だ。力で振っていこうとする駒大高打線は、まさに術中にハマったという感じで6回まできてしまっていた。
そして迎えた7回、簡単に2死となった後、2番森君が右中間へ運んで三塁打。やや動揺したのか、市谷君もにわかに制球が乱れ、死球と四球で満塁となる。ここで、勝負を賭けた駒大高の新井塁監督は、代打加藤君を送りだすが、期待に応えて三遊間をゴロで破って2者を返して同点。さらに、続く大畠君も中前打して逆転かと思われたが、ここは駒込西村君が好返球して本塁で刺した。
「取られたらすぐ取り返せ」というのは、特に駒込学園のようにディフェンス型のチームにとっては鉄則といってもいいものなのだが、直後の8回、大河原君が二塁打で出て2死二塁から、岡本君の内野ゴロが悪送球を誘い、それを見て転送した球もさらにそれて駒込学園に決勝点が転がり込んだ。
最後の反撃に出た駒大高は先頭の小幡君が安打で出塁しバントで二進。四球もあって一二塁として、長打ならば逆転サヨナラという場面だったが、大畠君の一打は難しい中堅への飛球だったが、西村君が好捕。本塁を狙って飛び出していた二塁走者も裕々と刺してゲームセット。
駒込学園は市谷君だけではなく、西村君の好プレーなどしっかりした守備も光り、まさに、守りのチームの真骨頂を発揮したといっていいだろう。
(文=手束仁)