試合レポート

科学技術学園日立vs水海道一

2014.04.29

科学技術学園日立vs水海道一 | 高校野球ドットコム

山名投手(科技日立)

科技日立が水海道一のミスに乗じて得点を重ね突き放す

 [stadium]土浦市営球場[/stadium]で行われた春季茨城県大会一回戦は、昨秋の県大会を経験したチーム同士の対戦となった。科技日立は、昨秋の県大会二回戦にて常総学院に4対5で9回サヨナラで惜敗。その後、春先の練習試合では、神奈川や埼玉の強豪校と互角に渡り合うなど、投打のバランスのとれた総合力の高いチームだ。

 一方、水海道一は、エースの坂本 真瑚(3年、谷田部中)を中心とした守りのチームだ。坂本は2年春に肘を故障し、長いイニングを投げられなかったが、約1年かかってようやく完治した。水海道一としては、エースの坂本で失点を最小限に抑えて、少ないチャンスをものにしたい。試合開始前、ブルペンで投球練習する科技日立・山名の様子を見ると、ずいぶん荒ぶっていた。5球投じて5球とも球がインハイに抜けている。試合でこの点をどう修正するか、山名の投手としての力量が試される。

 1回表、水海道一のエース・坂本は、科技日立の先頭の安部 大輔(3年、十王中、オール茨城)に対して自慢のストレートでグイグイ押す。初球131キロ、2球目132キロ、3球目135キロ。フルカウントから結局四球を選ばれたが、その後盗塁を刺殺。この回を三人で終えた。

 

 1回裏、注目の山名の立ち上がり。水海道一の先頭の東 知明(3年、御所ケ丘中)に対して球が上ずり、フルカウントからからこちらも四球を選ばれる。しかもボールとなった球は、横から見ていても明らかにそれと判るボール球だ。しかし、ストレートの調子がイマイチと見るや、科技日立バッテリーは次打者からスライダー中心の配球に切り替える。2番・並木 雄介(3年、小絹中)が送って一死二塁とされるも、3番・坂本はスライダーで空振りの三振に、4番・馬場 康平(3年、伊奈中)を二飛に打ち取りこの回を無失点で抑える。

 2回表、科技日立が一死後、内野安打と死球と右前安打で一死満塁の大チャンスとなる。しかし、ここは水海道一・坂本が130キロ中盤の速球を連発し、二者連続三振で切り抜ける。

 先制したのは科技日立だった。
3回表、二死無走者から3番・吉久保 裕紀(3年、中郷中)が一塁手の失策で出塁すると、4番・山名は死球で二死一、二塁とする。次打者6番・横山 准也(3年、大久保中)は初球をセンター前に弾き返し二走・吉久保が生還。科技日立が1点を先制する。


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坂本投手(水海道一)

 7回表、科技日立は先頭の8番・古茂田 樹(2年、磯原中)が遊撃手の失策で出塁し、送って一死二塁とする。次打者1番・安部はセカンドゴロとなるが、二塁手が失策し1点を追加する。さらに、3番・吉久保が左二塁打を放ち1点を追加。3対0とする。

 水海道一のエース・坂本は7回を投げ、被安打5、奪三振9、自責点0という投球内容で、この回をもってサードの守備へとつく。 対する科技日立エース・山名は8回を投げ、被安打1、奪三振9、失点0。特に4回から8回は全て三者凡退に仕留めるという素晴らしい内容だ。

  8対0と科技日立が大量リードして迎えた9回裏、ここまで沈黙していた水海道一打線は、9回からマウンドに上がった科技日立の右サイドスロー・有馬 敬佑(3年、友部二中)を捉える。一死後、2番・並木が右前安打、3番坂本が左前安打、4番・馬場の進塁打で二死二、三塁とする。ここから5番・須賀 有喜(3年、御所ケ丘中)、6番・倉茂 航太(3年、千代川中)の連続適時安打で2点を返す。しかし、次打者が一ゴロに倒れ試合終了となる。

 8対2で科技日立が水海道一を下した。 終盤まで両エースの素晴らしい投手戦だった。 科技日立・山名は力投型だ。歯を食いしばって頭と腕を思いきり振って投げる。ストレートのみならず、スライダーでも腕の振りが弱まらないので、スライダーが非常に有効に使えていた。

 

  対して、水海道一・坂本は脱力型だ。テイクバックを小さく力を抜いて、リリースからフォロースルーまで、腕がムチのようにしなる。7回を迎えても130キロ中盤を投げ込んでいたのもの頷ける綺麗なフォームだ。 タイプとして対照的な両投手の対戦は、相手のミスを逃さず得点に結びつけた科技日立の勝利で幕を閉じた。

(文=伊達 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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