箕面学園vs大阪園芸
敗れてもナイスゲーム
「快刀乱麻」と言って差し支えはないだろう。箕面学園の先発・床田寛樹(3年)のことだ。
長身の左オーバーハンドから繰り出す直球には明らかな勢いがあり、縦に大きく曲がる変化球には相当のキレがある。そのうえ、ストライクゾーンいっぱいのコースにズバリと決まるのだから対戦チームとしては厄介なことこのうえない。
終わって見れば被安打5のシャットアウト。これに無四球のオマケまでついた。ところが、オマケはまだあった。
13奪三振―。
毎回こそ逃したものの、三者連続三振が2回もあり、空振りも見逃しも、ストレートでも変化球でも、あらゆる手段で三振を奪いとった。
床田はバッティングでも非凡ぶりを見せつけ、単打に加え、左中間まっぷたつの三塁打、送りバントも難なくこなした。
打順は9番だが、明らかに怖い9番打者だ。
床田の活躍で箕面学園は、投打ががっちり噛み合い、3回戦進出を決めた。
ただ、敗れた園芸にとってもナイスゲームだった。
序盤から床田のピッチングに押さえ込まれはしたものの、先発の安田知圭良(2年)はピッチングに緩急をこめ、キャッチャーミットを目掛けて丁寧に投げ込んだ。崩れそうになっても瀬戸際でふんばり、バックもファインプレーでエースを盛り立てる。
3回裏には、執念でボールを追ったショートの浦﨑直隆(2年)が負傷手当てでグランドをはずれ、舞い戻ったときには観客席から割れんばかりの「頑張れ!」の声が飛ぶ。
決して観客の数は多くはなかった。ただ、応援する人の気持ちにプレーでダイレクトに応える園芸高校の球児たちがいた。
グランド整備を挟んだ6回表に連打でチャンスを作ったものの、生かしきれなかった。
その裏、箕面学園に試合を決められるような展開の中、センターの岩田和朋(3年)は背走しながらのファインキャッチで窮地を救う。続く7回表、先頭打者だった岩田はレフト前ヒットでチャンスを演出し、反抗へのあきらめない姿勢を見せ続けた。
投手が粘り、バックが盛り立て、守備のリズムを攻撃につなげる。
園芸は最後までホームベースを踏むことは叶わなかったが、フォア・ザ・チーム、勝利への執着心という高校野球の真髄を感じさせた9回の熱闘だったことは確か。
胸を張るべき、ナイスゲームだ。
(文=小野慶太)