太成学院大高vs枚方津田
新ユニフォームで躍動!
グレーに縦縞の新ユニフォームで初めて戦った選手たちが、気持ちよさそうにダイヤモンドを駆け回った。
太成学院大高である。
「3年前に亡くなられた元理事長が、野球を強化したいと熱心な方でした。その方の字体に変えようというところから、それならユニフォームを新しくしようと話が広がった」と仲辻宏之監督は説明する。
新しいユニフォームをまとい、チームの初戦ををけん引したのは1番の金山開(3年)だった。
1回の第1打席、枚方津田の先発・太田匠(3年)の2球目をたたきライト前へ運ぶ。後続の打者で一つずつ進塁し、4番山﨑賢剛(3年)の二塁打で先制のホームを踏んだ。
2回には一死一、二塁で第2打席。3ボール1ストライクからの5球目をレフトへ運ぶ3ラン。
4回の第3打席こそショートライナーに倒れたが、5回にはタイムリー、7回には三塁打でそれぞれ打点を挙げた。
終わってみれば5打数4安打6打点。
「1番を打たしてもらっているので、塁に出て勢いをつけたかった」と役割を果たせたことを喜んだ金山。
新ユニフォームについては、「他のチームの選手からもかっこいいと言ってもらえた。気持ち良かったです」と誇らしげに胸を張った。
ストライプ状のユニフォームは、遠目にはオリンピックの日本代表のものをイメージしているように見える。
しかし、近づいてみると少し違った。
「JAPANのものは二本線なのですが、ウチは三本線なんです。選手、保護者、スタッフが三位一体になるという願いをこめてそうしました」と仲辻監督は話した。
大阪大会のパンフレットに載る大会への抱負は、『For The Teamで甲子園!!』
三本線のように気持ち一つに、初の甲子園出場を目指す。
一方、敗れた枚方津田にとっては、悔しすぎる終わり方となってしまった。
1対10。3点以上を返さなければ点差によるコールドゲームとなってしまう7回裏に、一挙4点。
「まだまだいける」とナインは盛り上がった。
しかし攻撃中から激しく降っていた雨。審判団はゲームの中断を宣告し、36分後に無情の「ゲーム」という声が球場に響いた。
中断中に応援合戦を繰り広げていた両チームのスタンドが、一瞬にして静まり返り、聞こえてくるのは嗚咽だった。
野球は9イニング。あと2回。雨を恨む気持ちは双方の選手にあった。
球場の外に出て、応援団やクラスメイトの女子生徒、先輩たちの顔を見てさらに涙があふれていた枚方津田のナイン。3年生のとっては高校野球最後の大会。それがこんな形で終わるとはという気持ちが今はあるだろう。
一生忘れることはできない夏になっただろうが、5年後、10年後にこの夏のことを笑って語り合える時は必ず来る。
でもそうするためには、高校野球卒業後のこれからが大事なのだということを頭においてほしい。
戦えなかった残り2イニングで逆転できるかどうかは、これからの人生にかかっている。
勝った太成学院大高は自チームのミーティングで、「野球は9回までと小さい時から教わってきたよな。相手は、これで夏が終わりなんだぞ。もし自分たちがその立場だったどういう気持ちになるか考えてみろ」と首脳陣が話していた。
敗者の夏にかけた思いも背負い、勝者は次の戦いに臨む。
スターティングメンバー
【太成学院大高】
6金山開
4坂本剛
9河合将利
7山﨑賢剛
2原貴保 (主将)
8山地将馬
3坂本祐大
6上中野大貴
1和田涼吾
【枚方津田】
9石村一馬 (主将)
4端将宏
3江口智裕
9進拳太朗
8井上渡
5宮崎拓真
6中村健太
2石橋諒太
1太田匠
(文=編集部)