試合レポート

東播工vs北須磨

2016.09.17

背番号4のアンダースロー

東播工vs北須磨 | 高校野球ドットコム

藤森(東播工)

 初回に3番・池之上の2点適時二塁打で先制した北須磨、先発マウンドには背番号4を付けたアンダースローの竹内が上がった。その立ち上がり、制球に苦しみ東播工の1番・岩見を歩かせてしまう。2番・中元が送って一死二塁。3番・中尾に対しても2ボールとカウントを悪くしてしまうが、ここで素早い牽制を二塁に送るとタッチアウト。バント処理のフィールディング然り機敏なプレーを見せた。一死二塁が二死走者無しに変わると中尾も2ボールと打者有利のカウントから内野ゴロ。あっという間にピンチを切り抜けた。

 しかし2回になってもまだ制球は定まらない。連打を浴びて1点を失い、さらに2盗塁を決められる。アンダースローの投手はキレの鋭いスライダーでもない限り、ストライクゾーンの出し入れよりも緩急やオーバースローとは違った軌道で打者を惑わせ打たせて取ることが多い。当然、投球がホームベースの上を通過しなければその持ち味は失われ、クイックも相当鍛えなければ隙を突かれる。適時打を浴びた後は盗塁が大きく効いた犠牲フライを打たれ同点を許してしまう。さらに一死二塁と厳しい場面が続いたがここも初回と同様、牽制で走者を殺し次打者を内野ゴロに打ち取って3点目のホームは踏ませなかった。崩れてもおかしくない投球内容ながら投げる以外の部分の能力が東播工の攻撃を断ち切った。

 すると打線は3回、1番から始まる好打順の攻撃で立花の二塁打と小森のバントで一死二塁とすると池之上が2打席連続となる適時打を放ち勝ち越しに成功。援護をもらった竹内はその直後に一死一、二塁のピンチをサードゴロの併殺打で凌ぐと、4回無死一塁からもピッチャーゴロの併殺打でピンチの芽を摘む。この時、東播工の5番・十倉の打席ではエンドランが仕掛けられていたが、捕球した竹内はここでも内野手としての能力を感じさせる素早い動作でスタートを切っていた一走・濱崎を二塁封殺。4イニング続けての好プレーが光り、北須磨がリードして前半を終えた。

 5回までに5安打2四死球2盗塁、それなりに攻めてはいるが追う展開となった東播工は6回、一死から中元が安打で出塁すると前の打席ではチャンスで併殺打に倒れていた中尾が一塁線を破る二塁打を放ち二、三塁とチャンスを広げる。すると続く濱崎がセンター前へ2点適時打を放ち逆転に成功。4番の一打で試合をひっくり返すと、さらに6番・大西にも適時打が飛び出しリードを広げた。

 序盤に5安打を浴び3点を失っていた東播工先発・藤森だったがその後は散発4安打に抑えて完投勝利。北須磨は好打者の池之上が2打席連続適時打の後も快音を響かせ、4打数4安打と活躍したが5回以降は二塁が踏めず。あと2点及ばなかった。

(写真・文=小中翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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