試合レポート

浦和学院vs秀明英光

2011.07.25

勝負を決した2つのエラー

 「浦学を相手にするチームは自滅してそれが大量点につながっていると選手には伝えてあったんですが、恐れていたことが起きた」
秀明英光・秋山監督も試合後嘆いたが、1回裏の2つのエラーがあまりにも重かった。

初回秀明英光は先発佐藤の立ち上がりを攻める。先頭の遠藤(岳)がライト前ヒットで出ると、2番・岩谷がバスターからセンター前ヒットで続く。続く赤尾がバントで送り1死2,3塁とすると4番・遠藤(貢)がセンター前へタイムリーを打ち何と秀明英光が1点を先制する。

これで秀明英光のエース高橋の調子が良ければと思われたが、この日の高橋は悪かった。特に初回は「力みすぎた。甘く行った所があった」ということもあり、これまで決まっていたストレートがコントロールが全く決まらない。
先頭の佐藤にライト前ヒットを打たれ続く竹村が送り1死2塁とする。ここで小林の当たりはファーストゴロであったが、これをファースト真壁がエラーをしてしまう。さらに続く沼田はフォアボールで続き1死満塁で5番・日高を迎える。ここで日高の当たりはファーストゴロで併殺も考えられたが、これを真壁が今度はホームへ悪送球をしてしまい2-1と逆転される。元々調子の悪かった高橋はこれで気落ちしたか、その後、森、笹川に連続タイムリーを浴びるなど結局この回5失点してしまう。

秀明英光も3回表に調子の上がらない佐藤を攻め、1死2塁から遠藤(貢)がライト前タイムリーを打ち1点を返すが、高橋の調子も上がらない。森、石橋のヒットなどで2死2,3塁とされると1番佐藤にストレートをライトスタンドへ運ばれる。これで8-2となり、ほぼ試合の大勢は決した。


 だが、秀明英光は最後まで諦めなかった。1点を追加され9-2の7点差で迎えた7回表、2死から9番・安藤がレフト前ヒットで出塁すると、1番・遠藤(岳)もライト前ヒットで続く。
続く・岩谷はショートゴロに終わり万事休すかと思われたが、この打球をショート小林がエラーをし満塁となる。ここで3番・赤尾が押し出しで歩きこの時点でコールド負けがなくなると、続く遠藤(貢)のセカンドゴロを今度は竹村がエラーをし(結果は内野安打)、さらに2点を追加し9-5と4点差まで追い上げる。

浦学は結局その裏に沼田のタイムリー2塁打で1点を返し、事なきを得るが、最後にケチがついてしまった形となった。

だが、それよりもなによりも気になることがある。それは佐藤 拓也のピッチングだ。この日も大勢が決する3ランを打つなどバッティングの調子は上がってきたが、
「とにかく腕が振れていない」と佐藤本人もピッチングについては首を傾げる。

これについて森監督は「このチームは打線がピッチャーを育てると言ってきたが、ピッチャー佐藤がうまく調子に乗っちゃって、いつの間にか佐藤におんぶに抱っこのチームになってしまった。そこで佐藤自身が受けちゃったんじゃないですか」と佐藤をかばったが、次はAシード花咲徳栄戦であるだけに予断を許さない。

「次は総動員ですね」(浦学・森監督)
と次戦は左打者の多い徳栄ということで、今大会好調を維持している左腕・中山の登板も考えられる。
だが、あくまで勝負所は佐藤に託したいであろう。佐藤は肝心な所で蘇ることができるか。

(文=南英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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