試合レポート

日体大荏原vs都立墨田工

2018.10.15

「明るく、元気よく、そして楽しく」の日体大荏原が快勝

日体大荏原vs都立墨田工 | 高校野球ドットコム
日体大荏原・杉本佳偉君

 朝方に雨が少し強く降ったということで、グラウンド状態が悪化して、その整備のために時間が費やされて、仕合は予定より45分遅れで、シートノックではなくサイドノックを行って開始ということになった。

 待たされてのプレーボールだったが、試合は初回からお互いが激しく動いていった。「初回に攻めて行きたかったので、じゃんけんで勝って、先攻を取った」という都立墨田工。初回は、その狙いがズバリ当たって、日体大荏原の先発杉本君を攻めた。

 都立墨田工は一死で大木君が内野安打で出ると四球と池谷君の中前打で満塁とする。ここで、杉本君もいささか力んだか球が高めに外れて四球で押し出し。なおも一死満塁で都立墨田工は長妻君が高めに外し気味の球に食らいついてスクイズを決めて2点目。ここまでは鮮やかな攻撃だった。

 しかし日体大荏原もすぐに反撃した。「この2点は課せられたものだから、ここから始まるんだという気持ちで、これをクリアしていこう」と、相原健志監督はベンチで声を掛けていたという。今年の日体大荏原のチームモットーとしては、「明るく、元気よく、そして楽しく」ということを掲げているという。だから、2点のビハインドなどもまったく気にはしていないと言わんばかりに、ベンチは元気だった。それがすぐに功を奏した。

 都立墨田工の先発は左のサイドハンドで変則タイプの大澤君だったが、相手失策と2四球に乗じて日体大荏原は杉本君と小西川君が連続タイムリー打してすぐさま同点とした。さらに、2回にも二死走者なしから四死球と赤塚君の好打などで満塁として3番高野君が中前へポトリと落とすタイムリー安打で2者が帰って日体大荏原がリードをした。

 4回に1点ずつ取り合ったが、日体大荏原は6回は、4回に続いて4番中村君の右線二塁打で一死一三塁から2者を帰す追加点を挙げ、7回にも高野君、中村君と中軸のタイムリーで2点を追加した。こうして、日体大荏原は3番高野君が3安打で3打点、4番中村君は3安打に塁打2本で4打点と、中軸がしっかりとその責を果たしていたのが勝因となった。

 また、杉本君も初回こそ乱れたものの、「ヘッドアップしないでしっかり顎を引いていけ」という相原監督の指示通りに、2回から修正してすっかり立ち直った。相原監督は、「この大会は1番の赤塚を除くと19人が夏から新しく入ったメンバーなんですよ。皆とても素直ですから…。素直というのも選手たちが伸びていく要素としては大事だと思います」と、指示が行き届いていくことで、チームそのものがしっかりと整備されていくことを実感しているようだ。

 都立墨田工は、初回こそ思惑通りの攻め化できていい入りの試合となったのだが、長谷啓史監督も心配していた投手陣の不安が露呈してしまった。「1回戦も同じような継投でかわして行けたのですが、今日はそうはいきませんでした」と敗戦を認めた。そして、来春へ向けては投手陣の整備がまずは一番だという課題を確認していた。と、同時に現在は1年生が7人で総勢19人。来年の新入部員を確保していかなくてはいけないということももう一つのテーマとも言える。「そのためにも、もう一つ勝ってアピールしておきたかった」と、残念がっていたが、チームとしてはよくまとまっていたという印象だった。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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