試合レポート

志学館vs国分

2011.07.13

志学館vs国分 | 高校野球ドットコム

菅原(志学館)

戦国・千葉を戦うには

第3試合目は春ベスト8の志学館と千葉国分の対決。試合は志学館の菅原と千葉国分の酒井の投げ合いとなった。

志学館菅原慎(右/左178センチ75キロ)。セットポジションから入り、真っすぐ足を上げていき、バランスよく足を上げて、コンパクトにテークバックを取って腕を振りだしていく投球フォーム。実にオーソドックスである。余計な負荷がかからないバランスの良いフォーム。目測で130キロ前後の速球を両サイドに散らせていき、スライダー、カーブを織り交ぜていく投球。大崩れしない安定した投球スタイル。丁寧な投球スタイルは強豪校でも最小失点に抑えるモノは感じた。
千葉国分の先発投手は酒井勇輔(2年)。左腕から両サイドへ緩い球を投げ分ける。志学館打線はその遅さに完全にはまってしまった。緒戦特有の硬さと酒井の遅い球により振り回す打者が多くなっていった。次々とフライが多くなり、凡打を重ねていった。

試合は9回になっても決着が付かずに延長となる。菅原は被安打4奪三振5四死球1と安定した投球。一方で酒井は被安打7四死球5三振1と粘り強く投げていた。そしてフライアウトが14個。志学館打線は酒井の術中に嵌っていた。


志学館vs国分 | 高校野球ドットコム

試合後、健闘を称える

10回の表、菅原はさらにギアを入れる。6番服部を空振り三振、7番土田をファーストライナー。8番酒井を見逃し三振に取り打ち取り、10回の裏を迎える。

10回の裏、3番山本が倒れると4番ロドリゴがセンター前ヒットで出塁。さらに代走を送り、いきなり盗塁を敢行。送球がそれて一気に三塁へ。

ここで千葉国分はタイムを取り、満塁策を選択肢。一死満塁で7番山田。山田は初球を打ってレフトフライで二死。ここで8番の高田。ここまで4打数3安打と見せている。高田はストレートを振り抜き、三塁線へ。サードゴロになるかと思われたが、サードキャンバスに当たり、レフト前へ抜けるサヨナラヒット。志学館が苦しみながらもサヨナラ勝ちを見せた。

最後はお互いが健闘を称え合い、がっちりと握手。非常に清々しい気分にさせられた。

Bシード・志学館が千葉国分に苦戦。志学館・川俣監督によるとこの試合展開は想定内だったという。

「やはり緒戦ですから、硬くなって苦しめられるのは想定内でした。大事なのは指揮官がバタバタさせてはいけませんし、どっしりと構えながら指揮を取りました」

指揮官の焦りは選手の焦りを呼ぶ。だから川俣監督は極力、笑顔で接していたという。そしてゲームプランとしてはとにかく守り抜くこと。先制点を上げないこと。それを徹底させた。

「酒井君の投球に完全にはまっていましたし、練習試合でもこんな内容は見られない。それだけ公式戦は違うのでしょうね。点が取れないなら、与えない。しっかりと守り抜け!と選手たちに伝えました。そういった意味では今日は先制点を与えずにサヨナラ勝利を上げられたのはかなり大きかったと思います」

最後まで守り切った試合内容を評価した。


志学館vs国分 | 高校野球ドットコム

集まる国分ナイン

今年も期待をかけられながらも初戦敗退する学校が多い。

川俣監督は初戦勝利できたことに「また試合ができる機会が与えられたことを幸運に思います」と振り返った。

負ければ一発終わりの夏の高校野球。特に千葉県は戦力差が少なくなく、番狂わせが起こることが常にある。だから川俣監督のように苦戦することをしっかりと想定しながら、どっしりと構えて采配し、選手をリラックスさせてゲームを行う考えは参考になる。川俣監督の考えは一つの考えだ。各校の監督がいろんなアプローチで夏を戦うか、千葉を戦うかを模索している。いかにして自分たちの野球をさせてあげるか。言葉は簡単だが、試みると非常に難しいのだ。それだけ夏の千葉は深く、厳しい。

(文=編集部:河嶋 宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.01

21世紀枠でセンバツ出場経験のある豊橋工科が今年の公式戦初勝利!海陽学園は1年生右腕の力投実らず【24年夏・愛知大会】

2024.07.01

【夏の甲子園・関東地区好カード一覧】帝京と堀越、健大高崎と桐生第一が同ブロックに!東東京・群馬で大注目の序盤戦!

2024.07.01

とわの森三愛、立命館慶祥などが代表、出場16チームが出揃う【南北海道大会出場校一覧】

2024.07.01

首位・広島を牽引する「2016年ドラフト入団4人衆」! 8年の時を経て……外れ外れ1位、下位指名選手が大きく飛躍!

2024.07.02

北海道で本塁打が半減! 札幌支部では3分の1以下に……新基準バットの影響か、それとも【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!