試合レポート

八王子実践vs帝京八王子

2020.07.27

八王子実践5回コールド発進!エース・後藤4回で奪三振7

八王子実践vs帝京八王子 | 高校野球ドットコム
八王子実践5番・後藤結人

 本来なら初日である18日に行われる予定であった八王子対決であったが、雨が多い今大会を象徴するように、4回の中止を経て、ようやく実現した。

 この試合の注目は、今大会を代表する好投手である八王子実践後藤結人に、昨夏は強豪の八王子を破った帝京八王子が、どう対抗するかにあった。

 注目の立ち上がりで八王子実践の後藤は、帝京八王子の3番・松田舜汰に詰まりながらレフト前に運ばれる安打を1本打たれたものの、奪三振1を含む無失点で順当な立ち上がりとなった。

 一方帝京八王子の先発・濱中太志郎は荒れた立ち上がり。一死一、三塁から八王子実践は4番・高野哲平の中犠飛で1点を先制。するとそこから濱中は3人に続けて四球で押し出し。さらに8番・遠藤靖佳の右前安打で2点を追加。そのうえ、四球2個と安打2本を重ねてこの回一気に8回を挙げた。

 初回に8点を失った濱中であるが、球自体はそう悪くなく、本来、かなり力があると思う。その点についてチームの指揮を執っている長沼正樹助監督は、「濱中があそこまで荒れるとは思わなかった。かかったボールと、抜けたボールの差があります」と語る。

 2回表に八王子実践の後藤は、中前安打1本を打たれたものの、2人を三振に仕留めるなど、徐々にエンジンがかかってきた。後藤は最速140キロ台半ばのストレートや変化球がキレ出すと、そうそう打たれないが、投球にややムラがある。

 3回表、帝京八王子が9番・中田悠太郎が投前にバント安打を決めると、崩れ出す。中田は暴投で二塁に進み、2番・小泉諒太郎の中前安打や3番・松田舜汰の四球で満塁となり、4番・遠藤蒼太の犠飛で1点。続けて5番・濱中の中前安打で帝京八王子はさらに1点を返した。「ギアをかけたつもりが、かかっていませんでした」と後藤は振り返る。

 それでもその裏八王子実践は、8番・遠藤の満塁の走者を一掃するレフトオーバーの二塁打などで6点を追加し、試合を決めた。

 4回表に後藤はさらに奪三振2を追加。結局4イニングで奪三振7と、西東京のドクターKらしい投球だった。12点差をつけて迎えた5回表は、山田駿介が登板。山田も無失点に抑え14対2、5回コールドで八王子実践が圧勝した。

 初戦を快勝した八王子実践であるが、全体練習を再開したのは、6月29日から。「野球をするのが楽しそうでした」と河本ロバート監督は語る。アメリカの野球も経験している河本監督は、後藤を「ケガをさせないよう育てています」と語る。後藤は荒れることもあるが、「粗削りなのは、昔の自分と似ています」と言い、「ピッチャーとしての能力はこれから。彼なりに頑張っています」と語った。河本監督から腕の使い方を学び、トレーニングを重ねて成長してきた後藤。八王子実践は明日、劇的な逆転勝利で勢いに乗る早稲田実と対戦する。連投になるが、この日は4イニングしか投げていないだけに、どのような投球をするか、楽しみだ。

 帝京八王子は本来の力を発揮できないまま敗れた。練習ができなかったのは、どの学校も同じであるが、この夏の戦いの難しさを感じさせる大敗であった。

(記事=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.21

「10年後、日本の野球界は行きづまる」一人の野球指導者の危機感が、アマチュア球界を変える新リーグを生んだ~野球指導者・阪長友仁のビジョン前編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.6】

2024.06.21

【京都】22日に抽選会!京都外大西、京都国際が「両横綱」、龍谷大平安などが追う<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.21

【鹿児島】22日に抽選会!神村学園と鹿児島実の「頂上決戦」なるか<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.21

沖縄大会が22日開幕!八重山商工、宮古、小禄が登場、開幕戦での白星一番乗りは?【2024夏の甲子園】

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.16

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.06.18

今夏埼玉の注目野手18人! ドラフト1位級の花咲徳栄スラッガーを筆頭に浦和学院・昌平らに大型選手が揃う【埼玉注目野手リスト】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.06.18

激戦区・兵庫の組み合わせ決定!センバツ準V報徳学園は舞子と明石北の勝者と、3連覇狙う社、プロ注目右腕・槙野遥斗擁する須磨翔風など注目校の初戦は!?【2024年夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.24

春季近畿大会注目選手17人! 智辯和歌山の大型右腕、大阪学院大高の全国トップレベル遊撃手、天理のスラッガーコンビら逸材がこぞって出場!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.05.23

【鹿児島NHK選抜大会展望】本命・神村学園、対抗馬・鹿児島実、2強の牙城を崩すのは?