試合レポート

早大学院vs岩倉

2015.04.10

早大学院コールド勝ち、岩倉四球が痛手に

先発した早大学院の齊藤慶

 早大学院には、嵯峨悠希柴田迅齊藤慶という、力のある3人の投手を擁する。岩倉の豊田浩之監督は、「なかなか点がとれないのは、分かっていました」と語るように、センバツ優勝経験のある強豪にしても、いかに失点を抑えて少ないチャンスを物にできるかが、カギとなる。

 早大学院の先発は、右腕の齊藤。「齊藤はシンカーという魔球を持っています」と、早大学院の木田茂監督は言う。

 しかし立ち上がり、そのシンカーが高めに行った。
1回表岩倉は1番和田浩樹が左前安打。2番磯口武志が四球で無死一、二塁。続く2人は三振に倒れたが、5番水野貴士の左前安打で岩倉が1点を先制した。

 一方の岩倉坂本匠巽大介木曽川悠也という3人の投手を擁するが、「一番いい形になっているのは坂本です。でも坂本が9イニング投げるというイメージはありません」と語る。いかに、いい形で坂本につなぐかがポイントになる。

 ところが岩倉の先発・巽は、初回に崩れる。1番青木俊汰が四球で出ると、捕逸で一気に三塁に進み、2番金子和丘のスクイズであっさり同点。さらに4番太田雅之、5番佐藤友哉が四球で歩き、6番勝本勇人の二塁打で2人が還り、早大学院が1安打で3点を入れた。

 早大学院はさらに3回裏、1番青木が四球、2番金子の右前安打で無死一、三塁とし、3番小菅弘暉にボールが先行したところで、岩倉は投手を木曽川に交代。木曽川は、小菅に続き、太田にも四球で押し出し。さらに捕逸もあって、この回2点。

 4回表岩倉は、前の回の途中から木曽川に代わり登板している坂本の左前安打で1点を返したものの、その裏岩倉は二塁手と左翼手の失策が重なるなどして、2点追加された。

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5回からマウンドに上り、3回を無安打、無失点、6奪三振に抑えた柴田迅(早大学院)

 6回裏早大学院は二死後、1番青木の死球、2番金子の内野安打、3番小菅の二塁打などで2点を追加し、9-2となり、コールドゲームが成立した。

 岩倉にすれば8個の四球があまりに大きかった。
8個のうち3個は、早大学院1番の青木によるもの。四球は岩倉投手陣の制球難によるものではあるものの、選球眼が良く、粘り、揺さぶられたという側面もある。
さらに青木は、出塁すると、盗塁や果敢な走塁で必ず生還していることも、この日の早大学院の野球を象徴している。

 そして早大学院は、5回から登板した柴田が、3回を無安打、無失点、奪三振6と、付け入るスキを与えなかった。

 早大学院は、投手陣が安定しているうえに、爆発的な打線があるわけではないが、塁に出ると揺さぶる、うるさい存在の選手が多い。次は清宮幸太郎が注目されている早稲田実業との早稲田対決である。
早大学院の木田監督は、「清宮君は、打たれたら『ナイスバッティング』というところでしょうが、警戒すべきは加藤君です」と語る。

 また投手起用については、「早稲田実業を抑える力は柴田の方があるかもしれません。でも嵯峨は、早稲田実業を目指していたのを、誘った経緯があるので」と語る。

 打棒の早稲田実業と、投手力の早大学院。それぞれの真価が問われる試合になる。

(文=大島裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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