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第85回選抜大会注目選手を紹介 【野手編】

2013.02.24

投手編に続いて今回は野手編。まずは筆頭候補の4人、続いて捕手、内野手、外野手と注目選手を取り上げていきたい。ここから何人の選手が今大会の主役、ラッキーボーイとなっていくのか。

■第85回選抜高校野球大会 特設ページ
■第85回選抜大会注目選手を紹介 【投手編】

注目選手筆頭候補4人:森、上林、園部、和田

野手の筆頭候補は森 友哉大阪桐蔭)、上林 誠知仙台育英)、園部 聡聖光学院)、和田 恋高知)の4人だろう。

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上林 誠知(仙台育英)

森は今の高校球界の左打者では最も隙がない。ヒットを打つ技術だけならば、今年の高校生ではNO.1。プロ並みの打撃技術に、ここぞという時に打てる勝負強さ。大会3連覇がかかり、技量の高い選手が揃う大阪桐蔭だが、やはり核となる彼がキーマンになるだろう。昨年以上の厳しいマークを受ける中で、今年はどんな活躍を見せてくれるのか。彼はその厳しいマーク、プレッシャーを押しのけていけるような強さを持った選手であると思っている。

上林は稲葉2世独占インタビュー:北海道日本ハムファイターズ 稲葉篤紀選手)と呼ばれ、細みではあるが、打球を遠くへ飛ばせるスイング軌道、打球の角度を見るとモノが違う素材。公式戦では打率.375、本塁打3、打点17とずば抜けた成績を残している。
走塁は綺麗な姿勢からストライドの大きい美しい走り方といい、一歩目の判断が速く、右中間寄り左中間に追いつく守備範囲の広さといい、走攻守三拍子揃った外野手として高卒プロ入りの可能性も高い。選抜では走攻守すべてにおいて超高校級のプレーを披露することができるか。

園部は3季連続選抜出場。夏の甲子園では浦和学院戦で放ったバックスクリーン弾が圧巻であった。昨秋は厳しいマークにより0本塁打だったが、練習試合では9本を放っており、長打力、勝負強さは健在だ。貴重な右打ちの強打者としてチェックを入れたい逸材だ。

和田は1年夏から出場を掴み、順調に成長を遂げている。昨秋の四国大会決勝では本塁打を放ち、神宮大会では4打数4安打の活躍。パンチが強く、並みの高校生と頭ひとつ抜けた打球速度を見せている。さらに評価を高めるために守備・走塁を磨いていきたい。

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[page_break:捕手:関東2戦連発の若月、打率5割超の栗原など]

捕手:関東2戦連発の若月、打率5割超の栗原など

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若月健矢(花咲徳栄)

捕手では若月 健矢花咲徳栄)が注目される。強肩強打の大型捕手で、関東大会でも2試合連続本塁打を放った。独特の神主打法のような構えからノーステップで踏み込んで、低めの球を豪快に持っていた一打は圧巻であった。そして本人も自信があるという強肩。確かにシートノックから彼の肩の強さは出色そして面倒見が良く、投手陣から信頼を受ける。選抜では満足行くパフォーマンスを見せることができるか。

2年生ながら、森、若月に次いで注目してみたいのが栗原 陵矢春江工)。打率.513と高打率を記録し、1.9秒台を記録するスローイングも魅力。攻守にわたって新2年生離れした実力を誇る捕手で、選抜でさらに成長した姿を見せる事ができるか。

他では1.9秒台のスローイングとパンチ力のある打撃を見せる小畑 尋規北照)は公式戦2本塁打、打率.421を残す。正確なスローイングとパンチ力が光る小林 遼仙台育英)、髙田 涼太浦和学院)は広角に打ち分け、昨年の選手権・天理戦で本塁打を放つなどパンチ力のある打撃が光る。捕手としても1.9秒台のスローイングを見せる強肩に加え、三塁手も兼任する。昨秋の一塁手から捕手に復帰する大型打者・内田 靖人常総学院)もチェックを入れたい逸材だ。

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[page_break:内野手:3連覇を目指す大阪桐蔭の主力たち]

内野手:3連覇を目指す大阪桐蔭の主力たち

内野手では、大阪桐蔭に注目の選手が多い。長距離打者として期待したいのが近田 拓矢。打率.500、本塁打2、打点11と4番として重責を果たす。引っ張り傾向だった夏とくらべて右中間方向にも長打が増えて、成長が見えた。
他にも甲子園で3本塁打を打っている笠松 悠哉、安定感のある守備が光る水谷 友生也、15打点を記録した辻田 大樹も控えており、今年も見逃せない。

東北地区では安定感抜群の守備に、広角に打ち分ける打撃を得意とする熊谷 敬宥仙台育英)、望月 直也盛岡大附)に注目。望月は大谷 翔平(花巻東―北海道日本ハム)を打ち崩した強力打線の2番を打ち、チャンスメーカーとして存在感を示した。今年もチャンスメーカーとして、そして内野の要としてチームを引っ張る。望月と三遊間を組む強打者・去石 晴希にも注目だ。

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竹村 春樹(浦和学院)

関東地区では埼玉2人のショートストップに注目。経験豊富な竹村 春樹浦和学院)は、守備力ならば関東NO.1の守備力を誇る。一歩目の反応が速く、三塁より、ホーム寄りの打球に素早く追い付く守備力は魅力。打撃でも、逆方向へ鋭い打球を放つヒットメーカー。関東屈指の破壊力を秘める浦学打線の核弾頭としてチームを牽引していく。

花咲徳栄楠本 泰史は巧打堅守の遊撃手。花咲徳栄といえば、根元 俊一(千葉ロッテ)をはじめとして、左打ちの好ショートを輩出。彼もその系譜を受け継ぐ逸材。外角をしっかりと叩き、左中間方向に長打が打てる長打力、そつなく守れる守備が魅力。若月と共に注目を浴びる選手となっていくのではないだろうか。

東海大会を優勝した県立岐阜商からセンスの良い動きを見せるセカンド・東 泰斗、攻守でチームを引っ張る遠藤 康平常葉菊川)は打率.400、本塁打1、打点13を記録。100キロを超える大型打者・吉富 大輝菰野)は一躍、今大会の人気者になりそうな魅力を持った長打力が自慢。

北信越地区では敦賀気比から、打率.588、打点18を記録した山田 誠也に注目したい。

近畿地区では榎本 和輝京都翔英)。榎本は入学時から騒がれた逸材。投手としては130キロ中盤の速球、スライダー、チェンジアップを投げ分ける好投手だが、打者としてスラッガーとしての可能性があり、近畿大会・龍谷大平安戦(2012年11月03日)では満塁本塁打を放った。彼は直球に強いのが魅力。130キロ台、140キロ台でも、しっかりと芯で捕えて打球を飛ばすことができている。あとは変化球の対応力を高めていけば、隙が少ない打者になっていきそうだ。

昨年の選抜を経験している宮﨑 新履正社)は4割近い打率を残し、好守備も光るセカンドだ。

中国地区で安定感抜群のショートの守備を披露する太田 創(広島広陵)に注目。は投手としても140キロ台の速球を投げるなどショートリリーフもこなせる。益田翔陽石田 陽平は180センチ73キロの大型ショート。公式戦の打率はレギュラー陣トップの打率.571を記録。大会時ではぜひチェックしてほしいプレーヤー。

四国地区では動きの良い守備とパンチ力のある打撃を披露する河野 祐斗鳴門)、安樂智大とクリーンナップを打ち、パンチ力のある打撃を披露する宇佐川 陸(済美)も面白い。

九州地区では諸見里 匠沖縄尚学)の守備に注目。九州大会・日章学園戦ではセンター前へ抜けそう打球を回りこんで捕球し、すぐさま立ち上がり、ダイレクトスローでアウトにした。身体能力の高さ、球際の強さ、肩の強さが魅力だ。

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[page_break:外野手:打って、守れて、走れる吉田、投手も兼任の新2年生・逢澤ら]

外野手:打って、守れて、走れる吉田、投手も兼任の新2年生・逢澤ら

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八百板 飛馬(聖光学院)

北海道からは北照吉田 雄人。彼は1年秋からセンターを守る俊足巧打の外野手。広角に打ち分けるバットコントロールは見事で、ミート力は上林以上のモノがあるのではないだろうか。公式戦の打率は.514と高打率を残し、常に出塁が期待出来る選手。11試合で11盗塁を記録する盗塁能力の高さもあり、守れて、走れる外野手で、さらに打撃に力強さが加わると面白い存在だ。

東北地区では園部聡に繋ぐ好打者として、八百板 飛馬聖光学院)に注目。低めの捌(さば)きがうまく、長打を量産する好打者。

関東を制した浦和学院の中で、最も嫌らしい印象があるのが山根 佑太。公式戦の打率は.268とそれほど打っているイメージはないが、打点は9。チャンスの場面で強引な打撃をせず、右中間方向へきっちりと打ち返し、変化球にも対応出来るのが強み。関東大会では2打席連続本塁打を記録した髙島 翔太常総学院)も注目。

北信越地区では峯 健太郎敦賀気比)。新2年ながら核弾頭として活躍。広範囲の守備も光る選手。

東海地区では核弾頭として打率.400を記録する河村 蓮志県立岐阜商)、バットコントロールの良さ、俊足ぶりが光る登地 慶輔常葉菊川)は打率.358、7盗塁と持ち味を示している。

近畿大会準優勝の報徳学園勝岡 静也はバットコントロールが良い左の好打者。打率.373をマークし、2本塁打を放ったパンチ力も光る。腕っ節の強さを生かした豪快なスイングを見せる沖田 勝俊履正社)。昨年の選抜では豪快な本塁打で魅せたが、さらに打撃の迫力が増しているか注目したい。

中国地区では新2年生の逢澤 崚介関西)は公式戦打率.460をマーク、盗塁も7個を決める俊足。広範囲の外野守備に加え、投手を務める器用もあり、関西のキーマンとも行っていい選手であろう。

四国地区では広角に強い打球が打てる稲岡 賢太鳴門)が打率.478と高打率を記録。済美では核弾頭として打率.424を記録した山下 拓眞に注目だ。

九州地区では知念 佑哉沖縄尚学)に注目。神宮大会では4安打を記録した。塁間3.9秒台で駆け抜ける俊足で、広い守備範囲と強肩も光る打者である。中村 春葵は1番を任される尚志館の核弾頭。思い切りの良い打撃スタイルで、チームに勢いを乗せる。

各校から大会の主役になりそうな選手を取り上げた。甲子園という檜舞台が、選手の潜在能力を開花させる。今年はどれだけのラッキボーイが出現するか心待ちにしたい。

(文:河嶋宗一)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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