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トレーニングの目的

2010.10.30

第7回 トレーニングの目的2010年10月30日

トレーニングの目的

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

秋季大会も各地で盛り上がり、全力を出し切ったプレーに大いに沸いたことと思います。素晴らしい成績を収めたチームも、今回は残念な結果だったチームもこれからはシーズンオフの体力作りで勝負!今回はトレーニングに関する基本的な考え方についてお話してみたいと思います。

皆さんはトレーニングと聞くと重いダンベルやバーベルを持ってのウエイトトレーニングを想像されるかもしれませんね。

トレーニングはウエイトの器具や施設が整ったところで行うものだけではなく、グランドでの基本練習や自体重(自分の体重)を使ったトレーニング、また相手の体重を利用して行うパートナートレーニングなど、器具や環境が整わない限られたところでも十分行うことができます。

ではなぜ野球の練習だけではなく、トレーニングを行う必要があるのでしょうか。その理由は大きく分けると2つあります。1つは野球の技術向上のため、そしてもう1つはケガを予防するためです。

1)野球の技術向上のため
オフシーズンの間、基礎体力作りとして行うトレーニングは、野球に必要な体力要素(筋力、パワー、スピード、スタミナなど)を高めます。野球の技術練習の繰り返しだけでは得られない身体の土台づくりとして、トレーニングはこういった体力要素をとても効率よく強化することができるのです。
また基礎体力の土台がしっかりしていると、より高度な技術や戦術を習得しやすくなります。たとえば体幹を鍛えることで身体の支持能力が向上し、軸のぶれないスイング動作ができる、投球フォームが安定する、といったことや下肢筋力の向上によって走力がアップするなどが考えられます。

2)ケガを予防するため
体力要素が向上すると、野球をプレーするときにかかる負荷やダメージによるスタミナの消耗を軽減させる効果が期待できます。特に野球は同じ方向に投げる・打つ動作を繰り返すことが多いスポーツなので、左右の筋バランスが崩れてケガをしやすくなりますが、トレーニングを行うことである程度予防することが可能です。
たとえば何度も繰り返す足関節捻挫は、関節が不安定になっていることが多いのですが、トレーニングをすることによって関節の支持能力を高め、何度も繰り返さないように予防することができます。

またトレーニングにはメンタル面での効果も高いといわれています。「これだけトレーニングを行った」という自信は野球選手にとって心理的なアドバンテージをもたらし、さらなる技術力アップが期待できます。

このようにトレーニングを行うことは、野球選手にとって「うまくなるために」「ケガをしないために」必要不可欠なものです。トレーニングはハードでキツイといったイメージがあるかもしれませんが、目的をもって行えば野球選手としての可能性も大きく広がりますよ。

(文=西村 典子

次回、第8回公開は11月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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