球児が気になっている事
球児が気になっている事2011年02月17日
来春に向けてオフシーズン中の練習に励む球児を対象に、普段どのようなことを考えているか、意識調査を行った。
(調査期間:1月1日~31日、中学生112名・高校生116名)
1.球児が今必要としている事 「今冬のキーワードは『体重増加』」
オフシーズンの練習の中、自分に何が必要だと考えているか、自由回答形式で調査し、カテゴリ分けを行った。
結果、「体重増加(22.4%)」を掲げている球児が最も大きい割合を占めた。具体的に何キロまで増量したいという回答が多くみられた。次いで、「バッテイング技術向上(20.4%)」、「スピードアップ(18.4%)」と続く。
変わった回答としては「体幹の強化(5.2%)」である。「筋力アップ(7.9%)」、「体力アップ(6.5%)」といった回答も見られたが、体幹に注力してトレーニングが行われていることが面白い。さらに、具体的な体の部位として「下半身の強化(15.8%)」を掲げた球児もいた。全体として具体的に数値が記述されていた傾向があったことを付記したい。
【自由回答例】 体重3㌔アップ、球速10㌔アップ、俊敏性アップ、総合的筋力アップ(愛媛県立高・2年) 体幹強化と握力強化して、エースナンバーを奪取!(麻生ジャイアンツ(神奈川県中学球児)) 体重7kgUpとスピード キレ。コアのトレーニング。常に攻めの姿勢。(宮城県私立高) |
2. 2:練習に関して気になっている事 「より効率的なトレーニング方法を」
現在取り組んでいる練習に関して気になっていることを自由回答形式で調査し、カテゴリ分けを行った。
全体の3割と、最も大きな割合を占めたのが「トレーニング方法(30.1%)」であった。より効果的なトレーニング方法、効率よく各筋肉を強化できるトレーニングメニューなど、練習に高い成果を求める傾向があった。オフシーズンの目標で比較的多かった「バッティング(9.9%)」が次に続く。体で行って学ぶことだけでなく、バッティング理論を知りたいようである。「プロ野球選手の練習方法(6.3%)」もなかなか普段は知ることができないこともあって、3番目に大きな割合であった。
【自由回答例】 各筋肉を効率よく強化できるトレーニングメニュー(東京都中学球児) 伸びのある球を投げるためのトレーニング方法(神奈川県立高・1年) トレーニング方法や練習方法、フォームで意識すべき点をなるべく細かく、詳しく。(三重県立高・1年) |
3. オフシーズンの目標 「自分」に勝つ!
オフシーズンの目標に関して、自由回答形式で調査し、頻出キーワードを集計した。
最も多く使われたキーワードは「自分(12%)」である。文の傾向として、「自分に勝つ」や「自分に負けるな」など、自分自身を奮い立たす目標が多くみられた。
次いで「勝つ(11.4%)」が2番目に大きな割合を占めた。勝つ対象として、初戦相手、強豪校、または自分などを掲げていた。
「甲子園(9.6%)」を掲げている球児も顕著であった。近年の指導環境の向上により、現実的に甲子園を狙える高校が増えたことが影響しているのだろう。「全国大会(5.4%)」と合わせれば、いかに全国を目指す球児が多いかが分かる。
また、試合に勝つ以前に、「レギュラー(8.4%)」を掲げている球児もいた。
【自由回答例】 地方大会予選決勝進出に向けてがんばろう!(神奈川県立高・2年) 絶対甲子園!!(東京都立高・2年) 最後の年になるので、この冬、春で自分を追い込んで、夏になったときに監督、チームメイトに「お前で負けるならしょうがない」と言われるまで信頼を勝ち得たい。(北海道立高・2年) |
4. 総括
オフシーズンの最中である1月に行った調査であるが、全体として具体的な目標を掲げて、具体的な練習方法につなげようとしている球児が多い。「体を大きくする」や「球速をアップする」といった漠然としたものではなく、具体的な数字を決めて、そのためにはどうすればいいか意識しているようだ。
さらに、「甲子園」「全国大会」への出場を掲げている球児が比較的多かったことに注目。練習環境が全体としてよくなってきたこと、これまで知ることが出来なかった強豪校の強さの秘訣が各メディアで知ることができるようになったこと、指導陣が充実してきたことなど要因は多数あるが、身体的にも精神的にも球児全体のレベルが上がってきたことを示す調査結果となった。