坂戸西vs坂戸
長島投手(坂戸西)
好投手対決の坂戸ダービー、坂戸西がシード校の貫録示す
1時間40分というスピーディーな試合だった。これは、両投手がテンポよく制球力もあってスイスイと試合が進んでいったからでもあった。やはり、投手がいいと試合が引き締まるお手本のようなものだった。
好投手対決でもあり、それほど点は入らないだろうと思われたが予想通りの展開となった。
投手戦だからこそ、先取点がより大きくモノを言うだろうと思っていたが、坂戸西は初回先頭の黒澤智が左前打で出るとバントで進め、三番池本が左越二塁打という理想的な展開で先制する。惜しむらくは、さらに黒澤俊も左前打でさらに好機が続いていただけにもう1点欲しかったところであろうか。
それでも3回、再び一番からの攻撃で黒澤智が絶妙のバント安打で出ると、齋田の送りバントは相手送球ミスを誘い一二塁となる。池本が手堅く送ると、黒澤俊が中前へはじき返して二者を迎え入れた。坂戸西はまたしても出るべき選手が出て、返すべき選手が返すという願ってもないパターンでの得点だった。
これで、試合の流れは完全に坂戸西のペースとなった。
坂戸の竹谷投手にしてみれば勝手知ったる相手なのだが、立ち上がり早々に捉えられたことで気負いも出てきてしまったようだった。スピードもいつもほどはなかったようだが、それ以上に坂戸西の早いカウントから打ってくる積極的な攻撃が功を奏したともいえよう。
序盤のリードで坂戸西の長島投手は余裕が出てきた。4回までに6三振を奪っていたが、実は長島投手は三振を奪うことよりも「1イニング13球で終える」ということをテーマとした取り組みで、三振を獲りに行こうとすると却って力んでしまうということを戒めてもいるのだ。だから、5回以降に奪った三振は二つだけだったが、その方が本来の目指す投球スタイルともいえるものだった。
坂戸対決を制した野中祐之監督は、シード校としての面目を保てたことでも安堵していた。「実は、新チームが出来て公式戦で負けているのは、地区新人戦での坂戸、秋の地区大会での市立川越、そして秋春の県大会の浦和学院だけなんですよ。それが、丁度順番に当たっていく組み合わせになっているんですよね」と、今大会の奇妙なクジの縁を感じている。
地元のライバル校に競り勝ったことに関しては、「坂戸高校が強くなって、こうした形で競り合えるということは地元にとってもいいことだと思っています。我々も、昨秋の新人大会で長島が食い下がられて負けたことがいい刺激になって頑張れました。こうして、地元同士で競い合うことで、中学のいい選手が地元にとどまってウチや坂戸で野球をやろうという気持ちにつながっていくとも思うんです」と、地元の野球活性化にもつながっていることを感じていた。地場に根差した高校野球の発展という意味からも好試合だったといえるものだった。
(文=手束 仁)
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坂戸 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | ||||||
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坂戸西 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
坂戸:竹谷、岡部―東海林 坂戸西:長島―安斎