戸畑vs希望が丘
戸畑・喜田好走塁
代走、喜田 数秒間の大仕事
延長11回裏、一死一・三塁から、2安打の4番が、三振に倒れると、知将・牧村浩二監督(戸畑高校監督として、2度センバツ出場)が動く。同じく2安打の一塁走者・3番佐藤都喜に躊躇なく、代走・喜田良雅を送る。
その直後の初球、5番レフトの朝倉周が2本目の二塁打を右中間に運ぶ。タイミング際どく、喜田の左手がホームベースをかすめる。セーフ、セーフ。主審のコールが響く。劇的延長戦を制し、戸畑高校が決勝に進出した。代走・喜田がダイヤモンドに立った時間はほんの数秒間。監督の用兵に応えた激走、歓声とため息を切りさいたホームインだった。
2年前に選手権県大会進出の希望が丘と、今夏ベスト8進出の戸畑が激突した準決勝は、試合時間2時間33分を感じさせない好ゲームだった。
初回の希望が丘、四球をはさんで、3連打の見事な速攻で、3点先制。この先制点に対して、戸畑が二枚腰の粘りを見せる。5回、戸畑先発投手・亀山龍之介に代打・河内博基。
しぶとく、三塁線を破る二塁打を放つ。上位打線につなぎ、1点を返す。6回は、2番手投手の柴田克哉が安打。直後に4安打と大活躍の1番・門田大輝の三塁打で同点に。
好投の右サイド柴田(戸畑)
その後は、希望が丘の先発・左上手の砥綿奨輝と、戸畑の右サイドの柴田の投手戦へ。
砥綿が6回からの4イニングを2安打に抑えれば、柴田が3安打で応じる。
試合が動いたのは、11回。一死後に、安打とエラーの走者をおいて、砥綿が意地でセンターに運ぶ。その後、エラーで2点を奪った希望が丘。勝負あったか?
その裏、戸畑が奇跡を呼び込む。二塁打の門田と田村俊祐(※祐は、示す編の旧字)を、一・二塁において、佐藤が、三遊間を破り、1点を返す。そして、采配的中の、喜田の激走。
かつて牧村監督は、横松寿一(広島ドラフト1位、現北九州市民硬式野球クラブ)を擁し、夏の甲子園で四日市工に敗戦した。また高橋秀作(日体大-現JR九州)を擁し、背番号11の2年・田中将大の駒大苫小牧の前に屈した。
俊英1年軍団を擁し、念願の選手権出場なるか、今から、2年後の夏が待ち遠しい。
(文=PN トマス)