横浜商vs横浜学園
3回、Y校スクイズで追加点
伝統の横浜商、復活へ向けてまずはコールド発進
甲子園では、夏の大会決勝戦が朝9時半から行われているこの日、神奈川県では来春のセンバツを目指す戦いとなる秋季大会の地区ブロック予選が始まった。いわば、高校野球のすそ野である。当然のことだが、こうした、すそ野の試合の積み重ねがあって、甲子園での頂上がある。甲子園の決勝戦の日に、こうして学校の会場に身を置いていると、つくづくと、甲子園のすそ野の広さを感じる時でもある。
秋季県大会のブロック予選は、新チームとしてのはじめの一歩である。その一歩目をどう踏み出すのかということも、チームとしては大事なことだと思う。
前日の局地的な一時の大雨の影響もあって、グラウンド整備に時間がかかり、予定より30分ほど遅れてのプレーボールとなった。
先制したのは横浜学園で、2死から名渡山君が一塁手を強襲する二塁打で出ると、続く﨑君も中越二塁打して挙げたものだった。二人の強い打球が目を引いた。それだけ、よくバットを振り込んできたということだろう。
しかし、横浜商(Y校)もすぐに反撃。四球と2つの失策で無死満塁とすると、山本拓君が三遊間を破ってまず同点。さらに、1死後齋藤君の左犠飛と、八島君の中越二塁打でこの回3点。2回にも、3番山口君が右線へ落とすタイムリーで、3回には1死一三塁からスクイズで加点とじりじりとリードを広げていった。
会場校でもあるY校は、ネット裏には常連ともいえる“Y校ファン”が、効率よく加点していく新チームを頼もしそうに見つめていた。明治時代から野球部があり、日本最古の野球試合を行う旧制一高に練習グラウンドを提供したという歴史もある。1997(平成9)年のセンバツを最後に甲子園からも遠ざかり、近年はやや低迷しているという印象もぬぐえないが、伝統校だけに、Y校復活への期待は高い。
鶴見工から異動して昨春に就任して2年目となった小島孝道監督も、「強いY校が復活すれば、神奈川の高校野球はもっと盛り上がる」という思いで、熱い指導をしている。
この試合では、背番号6ながら旧チームから状況によってはリリーフのマウンドも任されていた山口君が先発。初回こそ、横浜学園の中軸に強打されて1点の先制を許したものの、その後は丁寧にコーナーを突きながら、時に度胸よくズバッと内側に投げ込んでくる度胸のよさも示して7回を投げ切った。
横浜学園は、1番の川尻君と3番の名渡山君がチームの中心で、投手と一塁を交互に務める。この試合も、川尻君先発で、5回途中から名渡山君がリリーフしたが、勢いづいたY校打線を止めきれなかった。
1899(明治32)年に創立の女子校から共学校となって11年目。横浜学園として、新たな歴史を築くべく野球部もその一端を担っている。
(文・写真=手束仁)