春日部共栄vs春日部東
青木選手(春日部共栄)
エースの座は渡さない
春日部共栄対春日部東と春日部ダービーが実現。試合は5回に7点を入れる猛攻を見せた春日部共栄が7回コールド勝ちを決めた。春日部東は本庄一、川越工と実力校を破ってきただけに接戦が予想されると展開されたが、思わぬ展開となってしまったのが残念であった。
また春日部共栄に新たな好投手が登場した。その名は青木龍一郎(右/右 177センチ75キロ)。昨年のエース竹崎裕麻とは対照的な投手だ。竹崎はバネの強さと身体能力の高さを活かした投手ならば、青木は重厚な下半身から投げる本格派右腕だ。
右オーバー気味から投げ込む直球は常時130キロ前半ぐらいか。下半身の力がしっかりと伝わったフォームから投じるストレートには威力を感じさせ、両サイドへしっかりと投げ分ける制球力が光っている。変化球はスライダー、カーブ、フォーク。変化球の切れは高校生として一定以上のレベルに達しており、特にスライダーの切れ、コントロールは秀逸で、いつでもストライクが取れる。4イニングを投げて危なげない投球を見せた。
春日部共栄にとって頼もしいエースが登場したと思わせる投球であったが、本多監督曰く
「ここまで投げさせるまでが本当に大変だったのですよ。夏の練習試合では良い時と悪い時の差が激しくて、今年は投手がいないと嘆いておりました」
それだけ今年の春日部共栄は不安を抱えたままのスタートであったのだ。練習試合・新人戦を通して成長し、チームのエースに成長したのは頼もしい限り。
次の昌平戦は新人戦で対戦して負けている。青木はその試合で投げていない。青木は「投げるつもりです」とはっきりと答えた。左腕の西澤、セカンドの伊川が伸びてきているが、エースの座は簡単には渡さない。大事な試合は俺に任せろという気持ちがこもっていた。
旧チームから主力として活躍した鎌田雅大。走攻守三拍子揃ったアスリート型のプレーヤーで、期待をしているが、なかなか当たりが出ないようだ。前回観戦した越ケ谷戦。そしてこの試合でも最終打席で放ったショート内野安打のみでブレーキがかかっている。技術的に見ればヘッドが遠回りする傾向が見られ、狙い球を一発で仕留める鋭さはない。
そして4番として打たなければならない重圧があるのか、1年に見られた思い切りの良さが影を潜め受け身の打撃になっているのが気になる。打撃で結果を残せない中でも、走塁面ではスタート良く走って盗塁を決め、守備では一歩目が早く安定した守備を見せるなど、打撃の不調を守備・走塁にひきずらないのは好感がもてる。
結果が出ないとなんとしてでも打たなければならない気持ちが構えから感じられ、どっしりさがない。しっかりとボールを待たずにタイミングが合わない空振りが見られ、良い打者に共通するブレのなさと余裕がない。結果を気にせずというのは無理な話だが、ノーヒットに終わっても内容のある結果を残してほしい。
内容のある構えはゆったりとした気持ちでボールを待って、しっかりと自分のスイングした上で、ミートをして力強い打球を飛ばすこと。内容のある結果を残し続け、プラスに捉えることができれば状態は上向くはず。この苦しみを乗り越え、チームが勝ち上がっていくようになると彼が実力を発揮するのも時間の問題であろう。
(文=河嶋宗一)