試合レポート

九州学院vs創成館

2011.10.28

九州学院vs創成館 | 高校野球ドットコム

萩原(九州学院)

先頭打者本塁打のインパクト

強烈な一発だった。

1回表の九州学院。先頭の萩原英之(2年)が、創成館の先発・大野拓麻(1年)から放った本塁打。1球目、変化球がボールとなった後の2球目。真ん中に入った直球が左中間スタンドへライナーで飛び込んだ。

「エース(大塚尚仁=2年)がいつも頑張ってくれている。今日は初回からガンガン攻めていこう」と決意して打席に入った主将が、7回コールドゲームへの口火を切った。

3回には打者一巡の猛攻で一挙5得点。4回から6回までは1点ずつを加えて9対0。エースの大塚は、打線の援護に「点を取ってくれて楽だった」と持ち味のテンポの良いピッチングが冴えた。

「直球よりもスライダーを多めにした」と変化球主体で創成館打線を打ち取っていく。与えた四球はわずかに1個。ピンチはあったが、点を取られる気配はまったくなかった。7回を投げてわずか66球と余力は十分。「球の走りも日毎に良くなっている。神宮大会に行きたい」とクールな表情で話した。


九州学院vs創成館 | 高校野球ドットコム

大塚(九州学院)

「力は創成館さんと互角だと思うのですが、萩原の一発で流れがこちらに来た」と試合を振り返った坂井宏安監督。1番で主将の一発は、それだけのインパクトがあったようだ。
「相手のピッチャーに投げさせたくないと思われるような一番打者になりたい」とこの秋から先頭打者を張る主将の萩原。この日はまさに創成館サイドに対して、怯ませるくらいの効果があった。

その創成館は、ほとんど良い所がなかった。
「試合前から硬かった。1年生の大野をもっと2年生が支えてあげられれば・・・」と悔やんだのは柳井田貴司主将(2年)。
萩原の一発の後遺症を象徴する場面が3回表。1死走者なしでの萩原の第2打席。大野が1球目を投じる瞬間に、キャッチャーの草野青空(2年)が立ちあがった。

『あれっ敬遠??』
と思わせる草野の行動。2球目以降、草野が立ちあがることはなかったが、大野は1球もストライクを取ることができずに、萩原を歩かせた。

一発を浴びたとはいえ、まだ3回と序盤。しかもその後は大野が踏ん張って、九州学院に得点を与えていなかった。それなのに、この安易な四球は首をひねってしまう。

「チーム全体が浮足立っていた」と柳井田主将。先頭打者本塁打が恐怖心として残りすぎたのだろか?
2番山下悠真(2年)が2死覚悟で送ると、その後は3番溝脇隼人(2年)のタイムリーをきっかけに打者一巡。結局この萩原を簡単に歩かせたことが、この回の5点を招いた。そして一挙にコールドへ。

わずか1時間30分しか戦えなかった創成館。「精神面、技術面ともっとレベルアップして、九州学院にリベンジできるようにしたい」と冬場に出直しを誓った柳井田主将。準決勝進出の歓喜以上に、ショックの多い一戦になってしまった。

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.25

【南北海道】函館支部では第3シードの函館西と函館大有斗が初戦に挑む【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【南北海道】室蘭支部では、第2シード苫小牧工が代表決定戦進出を狙う【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【南北海道】小樽支部予選が26日に開幕!8年連続代表校の北照が登場【2024夏の甲子園】

2024.06.25

【滋賀】組み合わせ決まる!近江がいきなり彦根東と対戦<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.21

沖縄大会が22日開幕!八重山商工、宮古、小禄が登場、開幕戦での白星一番乗りは?【2024夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】