鹿児島情報vs樟南二
林(樟南二)
「成長の跡」示す・樟南二
初のベスト8進出で意気上がる樟南二。鹿児島情報に延長戦で惜敗し、4強進出は果たせなかったが、迫田清仁監督は「子供たちが大会を通じて成長した跡をみせてくれた」と納得顔だった。
何よりも成長を感じたのは「我慢強く、崩れなくなったこと」(迫田監督)だ。この日もエラーは4つ。初回と六回が3者凡退だった以外は、毎回走者を出していた。もしあと一本どこかで出ていたら、あっさりコールドで負けていてもおかしくない。そんな展開を九回まで1失点でしのげたのは、エース林湧茉が我慢強く好投し、ナインもそれに応えて勝利への執念で、一致団結していたからに他ならない。
どれだけピンチになっても「絶対負けたくない気持ちで投げた」と林。生命線となる右打者の外角低めへの制球が抜群だった。そのボールが生きているから「内角の直球で詰まらせ、変化球で打者の芯を外す」投球ができた。
七回まで鹿情報の好投手・二木康太の前にチャンスらしいチャンスもなかなか作れなかったが、八回裏に9番・元岡駿太のタイムリーが出て土壇場で同点に追いついた。延長十回で5番・新山貴弘に中越え二塁打を浴びて、力尽きたが「打たれてもいいから強気の直球で攻めた。悔いはないです」と言い切った。
昨秋は強豪・鹿児島実を相手に5点を先制しながら逆転負け。この冬場は、7㌔のロードワーク、1時間半のタイヤ引き、30分のベースラン、300球のティー打撃を毎日やり込んだ。「技術」を覚える前に、まずは強じんな身体と精神力を身につけるためのトレーニングに時間を費やした。「あれを乗り越えたから、我慢強く、忍耐強い精神力がついた」と林は言う。樟南二にとっての今大会は、初の8強という結果だけでなく、積み上げてきたことに対する自信という、確かな手ごたえをつかんだ春だった。
(文=政純一郎)