東海大高輪台vs日大鶴ヶ丘
佐藤洋君(東海大高輪台)
東海大高輪台が学校としても初の関東大会出場を完封で決める
今大会注目の投手のうちの一人でもある日大鶴ヶ丘の大高君。187cmで体重は登録時よりも増えて81kgというサイズも魅力の一つとされている。その好投手に対して、食いついていこうという姿勢で挑んだ東海大高輪台は、立ち上がりからしぶとく攻めて攻略に成功した。
大高君がいくらか立ち上がりに不安があることは、先週の準々決勝の堀越戦でも露呈していた。日大鶴ヶ丘の萩生田博美監督も、大高君の立ち上がりに関しては、いくらか心配していたことでもあったが、東海大高輪台はその立ち上がりを攻めた。初回、先頭の平出君が右線へ二塁打するとバントで三塁へ進む。2死後、4番大口君が中前へしぶとくはじき返して先制。
4回にも東海大高輪台は1死後、9番川内君の左前打と平出君の内野安打で一二塁とする。三盗を仕掛けたのは失敗したものの、その後も振り逃げと盗塁で二三塁として、牽制落球の間に三塁から平出君が帰って2点目。
平出君は6回にも左前打で出ると、バントで進んで大口君のタイムリー打でホームインした。平出君が塁に出ると、得点につながるという、東海大高輪台としては非常にいい流れが出来ていた。7回にも、押し出しで追加点をあげた東海大高輪台は、そのまま佐藤洋君がそのリードを保って逃げ切った。
4回、東海大高輪台1死一塁で平出君
佐藤洋君は5回までは、毎回安打はされていたものの、粘りのある投球で走者は出しても、安心していられる安定感はあった。決して、スピードや力で抑えていくタイプではないものの、ストライクゾーンのギリギリのところを上手に攻めていく投球術が光った。このあたりは、川内捕手が佐藤洋君のいいところを引き出しており、リードもいいのだろうと思える。終わってみれば、7安打散発で完封である。三塁を踏ませたのも2回のみで、危なげのない内容だった。
これで、東海大高輪台としては、初の関東大会進出となった。過去、2008年夏に東東京大会で決勝進出の実績があるが、東京代表となるのは初めてのこととなる。就任13年目の宮嶌孝一監督も、「学校も、部活動を頑張っていかれる環境を作ってくれていますので、それに応えられてよかったと思います。この春も、選手の方から、『是非、関東大会に行こう』ということを言ってきてくれて、ボクもそれで火がついて引っ張られているような感じです」と、素直に喜んでいた。それとともに、選手たちの積極的な前向きの姿勢にも確かなものを感じているようだ。
戦い方としては、先制した初回は、その後も2死満塁まで攻めていて、もう一打出れば大量点という場面でもあった。それを逃したり、3回も2死から連打が出たが得点に結びつかないなど、やや拙攻気味に思えるところもあったかもしれない。しかし、そんなことはあまり意に介していない様子でもあった。
宮嶌監督は、「生徒には、1点ずつ取っていこうということを言っていました。点にならなくても、簡単に終わるのではなく塁に出て攻めの時間を多く作っていこうということを言っていましたから、その通りになりました」と、ゲームプラン通りだったことにも満足していた。
夏の東東京大会もシードとして4スミの一角を占めることになる。全国にある東海大系列校の中で、甲子園実績がないただ一つの学校になっているだけに、東海大高輪台としてはこの夏は、その悲願達成という大きな目標も、具体的なものとなってきたようだ。
(文=手束仁)