桜宮vs大阪商大堺
大量得点でハイタッチする大商大堺ナイン
取ったら取り返す！
2回表の『6』。
4回にノーヒットで奪った1点を加えると大量7点のリードは大商大堺の力量を物語っていた。
パワーヒッターが揃う大商大堺。このまま相手を圧倒するかと思われる展開だったが、5回に3連打で4点を挙げ、しぶとく戦った桜宮も決して押され切っていなかった。
ただこのゲームに関しては、大商大堺打線がさらにその上を走っていたと言えるだろう。
「(6回の)あの反撃は大きかったですね。うちらしく、繋いで点を取られたのが良かったと思います」。
敷嶋義之監督は、穏やかな表情で試合を振り返った。
1回の三者凡退を振り払うような2回の攻撃だった。
4番の辻本日和(3年)の左越えの二塁打を皮切りに、下位打線からも連打でチャンスを作った。そしてこのイニング2本目となる辻本のヒットも生まれ、一度火のついた攻撃はなかなか止まらない。
だが4点を奪われた5回の守りは、二死から連続四死球をきっかけに遭ったもの。後味の悪さは否めなかっただろう。
しかし、その嫌な空気を吹き飛ばす6回の反撃で相手に傾きかけた流れを完全に止めた。
「もし、あの5回以降ズルズル相手にチャンスをあげていたら負けゲームになっていたかもしれない。でも反撃したのは4点を取られた直後の6回でした。どれだけリードを奪っていても、高校生は勢い次第でガラッと雰囲気が変わることもある。それを感じずにはいられなかったです」と話した指揮官。
知念勇弥投手(大商大堺)
不思議なことに、再反撃した6回の得点の仕方は、5回に自分たちが相手に与えてしまった場面とほぼ同じで、連続四球からリズムを崩すというパターンだったのだ。お互いが引っ張り合うような攻撃ではあったが、それでも一気に相手を沈めるパワーは、各打者の力強いスイングからも伺えた。
7回コールドゲームで決着がついたことについて、「ウチはホームランよりヒットで繋ぐチームなので、その通りに点を取れたことは良かった」と胸をなで下ろした指揮官。
最後の山・決勝(20日)で戦う相手は大阪桐蔭。
昨秋の準々決勝で0対3と接戦に持ち込むも、勝ち切れなかった相手だ。そして、今度は全国チャンピオンを相手として挑むことになる。
｢昨秋は6回まで0対0の勝負ができたけれど、今回はどうなるか。力の差はあるけれど、その大阪桐蔭打線を抑えた投手もいますし、色々と試しながらやっていきたいですね」と決意を語った敷島監督。
頂点を見据え、全国チャンピオンにぶつかることがチームの試金石となるだろう。
スターティングメンバー
【大商大堺】
6今泉孝樹、9永田眞悟、1知念勇弥、3辻本日和、7浅香智則、2植林拓也、4小原徹也、5相馬優、8平井大介
【桜宮】
8杉本陽哉、7三宅直人、9笹峰竜也、2山野雅之、5山科佑太、4眞利勇翔、3三宅悠人、6片上敦基、1能塚勇輔
(文＝沢井史)
