高知中央vs高知商
5回表高知中央・先頭打者でバックスクリーンに本塁打を放ちベンチへ戻る４番・田川賢吾（３年）
高知中央・田川賢吾、驚愕のバックスクリーン弾！
「ゴツン」。
５回表。鈍い金属音を残し先頭の４番・田川賢吾（３年）が放った打球。
しかし打った本人ですら「センターフライかと思った」ボールはなかなか落ちてこない。追うセンター。まだ落ちてこない打球。ついにフェンスに着いたセンター。そしてボールはその上を超えて、バックスクリーンに吸い込まれていく…。
四球、安打、死球、安打、安打「わりと単純に放ってくる」（高知商業・正木陽監督）マウンドでの弱点を徹底的に付かれ、さらに野選、スクイズ野選が絡んで６点を失った２回裏。
この時点で投手としての評価が急降下した田川であったが、「バックスクリーンを見たのは（関西で監督をしていた）20何年ぶり」と角田篤敏監督をも驚かす高校通算３号は７球団が詰め掛けたＮＰＢスカウト陣の打者評価に二重丸を付けるにも十分すぎるインパクトであった。
そしてこの一発が正に「反撃の口火」となり5回は３点。
７回には７番・加藤輝（３年）の2点二塁打と９番・森本航（３年）の適時打で同点。そして8回には３番・芝田泰樹（３年）の適時打により、ついに６点差をひっくり返した高知中央。夏のシード争い直接対決での勝利に「やっと強豪と言われるチームに勝てた」と試合後の指揮官も満足そうだった。
(文＝寺下友徳)
