試合レポート

履正社vs桜宮

2012.05.21

履正社vs桜宮 | 高校野球ドットコム

三位表彰 履正社・小保根誠主将

三位決定戦の捉え方と今の時期

三位決定戦は、履正社の先発・鈴木佳祐(3年)が、桜宮を散発の7安打に抑えて完封した。

打線は、1回に4番小保根誠(3年)の犠牲フライで1点を先制。4回には、先頭の小保根が二塁打を放つと、7番植田幹就(3年)のタイムリーで1点を追加。さらには、8番乾駿斗(3年)、9番鈴木の連続スクイズで4対0とリードを広げた。

桜宮は、履正社の鈴木に完璧に抑え込まれたわけではなく、ヒットは出ていたが、繋がらずに結局は三塁を踏むここが出来なかった。

【三位決定戦】という舞台。捉え方は様々である。
まずは、両チームにとって共通するのは、準決勝で一度負けたという事実。「夏は三位はありませんから」と履正社の岡田龍生監督が話すように、負ければそこで終わりの夏ならば、あり得ない舞台である。

今回はさらに、秋と違って近畿大会出場が懸かっているわけでもなかった。

その岡田監督が先発に立てたのが鈴木。前回の大阪桐蔭戦に続いてマウンドを託した。
鈴木は3年生。飯塚孝史(現・大阪ガス)らがいた昨年のチームでも、登板機会があった右腕。本来ならば、今のチームでエースを張るだけの期待をされていた選手である。
しかし、今の背番号は『17』。東範幸東野龍二阪本大輝と投手陣の構成は2年生が中心だ。指揮官は「今日がダメだったら…」と鈴木に3年生の意地を期待していた。
この日、細かく全体を振り返れば、良かった所と悪かった所があるだろうが、何よりも0に抑えたことは大きな自信に繋がるだろう。特に立ち上がりから、投げる球に気持ちがこもっていた。ヒットを打たれても崩れず、最後まで四球も与えなかった。
3年生の鈴木にとって大きな意味のある試合をしっかりと投げられたことで、投手陣全体の芯に少し近づけたのではないかと思えるピッチングだった。


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スクイズの場面。ボールがミットからこぼれる

一方で敗れた桜宮は、試合前のノックから普段と様子が違っていた。簡単な捕球や、中継プレーなどにミスが出る。試合が始まってからも、その不安は払しょくできず、肝心な所でミスが出てしまった。
この日対戦した両校は現在、中間考査の期間中。
「三位になれば表彰式があるので、(決勝が終わるのを待ちながら)球場で試験勉強をしようと勉強道具を持ってこさせた。負けたので、帰って勉強になりましたが」と桜宮の福原和行監督は話してくれた。
履正社の岡田監督も、「メンバー外は(試験勉強をしろという意味で)球場に来させてません。来てない彼らがどう過ごしているかはわかりませんが」と話す。
全国の学校でも多くが中間考査の時期。現在開催中の関東大会のように、考査期間中の平日=登校日に公式戦が行われる地区もあるが、言うまでもなく、最優先は学業だ。
桜宮のナインは、普段ならば帰って練習するところを、ミーティング後、すぐに試験に備えて帰途についた。

『5月の中間考査をしっかりやっておかないと、7月の期末考査は夏の大会と時期が被ることがあるので、影響が出てしまう』とある高校の先生が話してくれたことがある。

7月7日に開幕する大阪であれば、抽選次第で考査日と試合日が重なることがありえる。
この日は、“最優先”の試験勉強をしながら、いかに試合のための準備をするかという意味で、大きな勉強ができた試合と言えるのではないだろうか

スターティングメンバー
桜宮
8杉本陽哉、7三宅直人、9笹峰竜也、2山野雅之、5竹内剛志、3三宅悠人、4山村武寛、6片上敦基、1藤岡大士
履正社
6熊本颯 、5庄野雄斗、4宮﨑新、3小保根誠、7沖田勝俊、8原田涼平 、9植田幹就、2乾駿斗 1鈴木佳佑

(文=松倉雄太)
(写真=試合シーン54~86・中谷明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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