試合レポート

作新学院vs南稜

2012.05.21

南稜、善戦! 埼玉勢の公立校を元気づける熱戦!

今年の埼玉春季大会は浦和学院春日部共栄花咲徳栄聖望学園の私立勢が敗れる波乱含みの大会となった。関東大会進出は埼玉南稜、埼玉栄春日部東、県立川口の4チーム。3校が県立勢。その埼玉南稜を応援しようと、一塁側の埼玉南稜スタンドはほぼ満員だった。

また埼玉南稜は背番号10の武井和真選手が試合前のシートノックをすべて務めている。そのノックが非常に上手く、スタンドにいた人たちはみな、彼のノックの巧さに驚かされていた。まさに第二の監督という位置づけと印象付けるシートノックであった。(参照4月30日レポート)

相手は昨夏ベスト4今春の選抜出場を果たしている作新学院と対戦だ。試合は苦しい試合展開となる。

1回のから作新学院がチャンスを掴み、4番高山の適時打で1点を先制。3回表にも高山がしぶとくライト前へ落とす適時打で1点を追加。さらに5回表にも、5番吉田の適時打で1点、6回表にも1番鶴田の右横線二塁打で、1点を追加し、4対0。作新学院が試合の主導権を握った。

しかし6回裏、埼玉南稜は二死二塁から振り逃げ。捕手が弾いた球は一塁側ベンチへ転がり、二塁走者は一気にホームを狙い、クロスプレーとなったが、セーフ。埼玉南稜スタンドは大きく盛り上がる。


7回裏から作新学院は左腕の筒井から二番手のエース大谷 樹弘が登板。荒々しい右サイドハンドだったが、腕の位置を上げて、背中を反って、角度良く振り下ろすフォームになった。まだフォームがなじんでいないのか。いつものスピードはない。最速135キロのストレートをコーナーに投げ分けて打たせて取っていく投球。

8回裏、埼玉南稜は二死から5番上農がショートのエラーで出塁。更に久保田が四球で続き、7番富士登が投手、一塁の間へ転がる打球を打つ。投手・大谷が捕りにいき、一塁へ送球するが、送球が逸れる。セーフとなって、二塁走者がホームを狙い、クロスプレー。セーフとなり、2点目。4対2と2点差に迫り、面白い試合展開となる。

 9回表、作新学院が無得点に終わり、9回の裏。9番佐伯が四球で出塁し、盛り上がったが、1番北出が放った打球が佐伯の足に直撃。佐伯はアウトになり、北出が入れ替わりで一塁へ。2番白石は犠打。投手、一塁の際どい所へ転がり、内野安打に。北出は三塁へ進み、一死1,3塁のチャンスに。しかしまたも痛恨のミスが出てしまう。一塁走者の白石が飛び出してしまいタッチアウト。挟殺プレーの間にホームへ突っ込んだ北出もアウトになり、ゲームセット。作新学院はベスト8へ進出した。

 埼玉南稜は突出した力はないが、粘り強く、自分の間合いで試合を持ちこめる強さがある。今日投げた3投手は打者と向き合って、間を外していきながら、一球、一球を丁寧に考えながら投げている。やはり甘い球を投げ込むと振り抜かれてしまうが、しっかりとコーナーへ突いたのは正面へついてアウトにすることが出来ている。このチームで驚かされたのは走れるということ。この試合で4盗塁。明らかに投手の癖・配球を把握して、盗塁もあり、なかなか嫌らしい野球をするチームと映った。負けてはしまったが、自分たちの野球をすれば、甲子園出場校にも渡り合えることを証明した試合であった。この夏は私学を脅かし、埼玉南稜旋風を巻き起こすことが出来るか注目したい。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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