県立岐阜商vs静清
県岐商・大山君
投打に良い感覚の仕上がり
天気が心配されたこの日の岐阜地方だったが、小雨こそ降り続いていたものの、試合は中断することなくスムーズに進んだ。
1回をあっさり三者凡退で退けた県岐阜商は、その裏、1死後主将の大山紘平君がセンター前へヒットを放つ。4番の堀内雅史君もつないで２死一、二塁として、続く安藤泰之君のライト前ヒットで先制。2回にも間宮宏樹君、田中宏樹君と連打、さらにとバントで１死二、三塁として、内野ゴロの間に追加点を奪った。
そして、見事だったのは6回だった。
3回以降も、チャンスは作っていたのだがあと一本が出ないでいた県岐阜商だが、この回、田中君がショート強襲のヒットで出ると、バントや牽制悪送球などで三塁へ進み、1番東泰斗君も死球で一、三塁。ここで、静清は先発の左腕・山本晃君を諦めて、背番号1をつけた米田篤人君を送りこんだが、その代わり端にカウント2ボール2ストライクからスクイズを決めた。
さらに、送球がこぼれる間に走者がそれぞれ進んで二、三塁。3番武藤嘉威君はセーフティースクイズを決めたが、わずかな隙をついて二塁から大山君も生還した。
この場面、最初から2ランスクイズを狙ったプレーというよりは、大山君の判断で一気に本塁へ還ったものだったが、このあたりは藤田明宏監督が大山君のセンスの良さを絶賛しているだけのことはある、本領発揮のプレーといってもいいものだった。特に、際立って足が速いという選手ではなくても、ベースランニングに関しての感性が優れていれば、一つ余分に塁が奪えるのだということを身をもって証明してくれたプレーでもあった。
県岐商・藤田君
県岐阜商は、このリードを間宮君から藤田凌司君へと、右→左という継投でつないで守り切った。間宮君は184cm85kgという恵まれた体格から、角度のあるストレートと、この日はカーブの切れもよかった。
藤田君は左脚内転筋を傷めていたということだが、その故障も癒えて投げられるようになってきたので、夏を見据えての試投という感じでマウンドに登った。8、9回の2イニングを投げて、3番米島宏祐君の二塁打一本のみに抑えまずまずだった。
こうして、県岐阜商は攻守にほぼ思惑通りで会心の勝利といってもいいものだった。
藤田監督は、「秋は、（東海大会に出場はしたものの）初戦で敗退。東海大会の初戦の壁を突破したということになりますが、秋に比べると、打線につながりが出来たのが大きいですね。アウトになっても、それぞれが仕事をしていましたから、よかったと思います。投手陣も、ピンチになっても冷静でしたから安心していました」と、攻守にいい仕上がりぶりを実感していた。
この春に、金城成久監督が復帰した静清。県大会では掛川西、静岡商などを撃破して準優勝を果たしての進出だった。
昨秋は県大会の初戦でコールド負けというところからの再スタートとなったが、この日は4回の１死満塁、5回の無死三塁をモノにできずにそのまま零封されてしまった。それでも、夏へ向けてチームは一つひとつ前へ進んでいるという実感はあるようだ。
(文＝手束仁)
