都立日比谷vs都立荒川商
部員が一体となった両チーム同士の対決を制したのは?
ベンチ入り登録19人の都立日比谷とベンチ入り登録 18人の都立荒川商の対決。都立日比谷は2年生がベンチ入りしておらず、3年生8人以外は1年生がベンチ入り。都立荒川商も2,3年生が10人で残り8人が1年生。よく部員全員、3学年が一体となって戦うと述べるチームはあるが、両チームは部員全員が戦わざるを得ない両チームなのである。選手層の厚い学校と対抗するには密度の濃い練習量で全員のレベルを引き上げることが一番の近道だ。
シートノックを見る限り、しっかりと鍛えられている様子が伝わってきた。やはり人数が少ないので、全員が密度の濃い練習を積んできたからだろう。実力は均衡しており、試合は接戦となった。
都立荒川商は1回裏、1番近藤直樹(3年)の左中間を破る二塁打、2番大野 望(3年)の相手守備の乱れで無死1,3塁のチャンス。一死となって、4番杉山光司(3年)のレフト前タイムリーで1点を先制。さらに5番川上貴也(2年)のスクイズで1点を追加し、2対0と先行する。先行したが、試合は両先発の好投で一旦落ち着いた。
都立荒川商の先発は背番号5を付けた皆川凌人(2年)。右肘をコンパクトに折り畳んだフォームから投じる速球と曲がりの大きいスライダーのコンビネーションで5回まで無失点に抑える投球。都立日比谷の先発・染谷健太はテークバックが小さく、やや肘が下がったフォームから投じる変則左腕だが、腕の振りが良く、右打者の内角へ決まるクロスファイヤーとスライダーのコンビネーションが冴え渡って、2回以降から持ち直した。
試合は6回に動いた。6回表、都立日比谷は2番辻朗(1年)がセンター前ヒットで出塁。一死となって、4番菊地達也(3年)、5番吉澤治隼(3年)の連打で満塁のチャンスを作る。6番米永大将(3年)はサードゴロにより封殺となったが、二死満塁。7番吹田昂太郎(3年)が直球を捉え、ライト前タイムリーで1点差に迫り、さらに8番五十嵐翼(3年)が2ストライクと追い込まれたものの、甘く入った直球を捕える。打球はレフトへ深く伸び、前進守備していたレフトの頭を超える長打に。走者一掃の二塁打となり、4対2と逆転。1年生が足がかりを作り、3年生の活躍で逆転に成功した。
試合はそのまま進行し、9回表、日比谷は二死から9番足立 圭輔(3年)がレフトへ二塁打を放ちチャンスを作ると、1番島村 優大(1年)のライト前タイムリーで1点を追加、さらに辻もセンターへタイムリーを放ち6対1。今度は1年生の活躍により、貴重な追加点を入れた。
都立荒川商は犠牲フライで1点を返したが、後続が凡退し、試合終了。都立日比谷が3回戦へ進出を果たした。
試合は都立日比谷が6回による集中打で試合を決したが、お互い最後まで力を出し尽くしたゲーム内容であった。部員19人の都立日比谷と部員18人の都立荒川商が普段行ってきた練習の成果をグラウンドで体現したナイスゲームであった。
(文=河嶋宗一)