試合レポート

神戸国際大附vs神戸鈴蘭台

2012.07.12

2人の3年生

3回まで0対0の流れ。
均衡を破ったのは4回表、神戸国際大附だった。

先頭の4番宗接唯人(3年)がヒットで出塁すると、5番武市誠(3年)が送りスコアリングポジションに進める。
その後連続四球で満塁とすると、8番小松蒼馬(3年)が4球目を叩き先制タイムリー。さらにボールを処理しようとした選手が後逸し、走者は全て生還。
続く9番小深田大翔(2年)がスクイズを決め、神戸国際大附が4点を挙げた。
次の5回には、二死一塁から5番武市がレフトポール際に飛び込む2ラン。これで勝負の大勢は決した。
7回に4番宗接のタイムリー二塁打で7点目を挙げた神戸国際大附は、先発したエースナンバーの小松が4安打無失点に抑え、コールド勝ちで2回戦に進んだ。

「久しぶりの公式戦だった」と振り返った神戸国際大附の青木尚龍監督。
春は支部予選で敗れ、県大会進めなかっただけに、この夏に期する選手たちの思いは格別のものがあった。

中でも、苦労してきた3年生2人の活躍が光った。

まずは本塁打を放った5番の武市。青木監督は、「これまでは公式戦でベンチに入ったことがなかった選手」と話す。
本人によれば、入学以降は足首をひねるなど、ケガが多かったという。そんな武市が刺激を受けたのは、現チームで台頭する下級生たち。この日スタメンで起用された高橋優など、ベンチ入りした1年生が4人。今のチーム構成では圧倒的に下級生が多い。
武市は、「下(の学年)から来られる」と危機感を覚え、最後の夏へ向け、練習後も居残って遅くまでバットを振り続けてきたという。
そのかいあって、6月からは5番に抜擢。攻守の中心である4番の宗接が相手チームから警戒されるなか、武市はプレッシャーに負けず、5番の座を守り続けた。
7月に入り、智辯学園青山大紀(3年)と対戦した練習試合では2打点。指揮官は、初めての背番号とともに、5番でのスタメン出場を決めた。
記念すべき最初の試合となったこの日のゲームで、レフトへの公式戦初本塁打。
「バットの先っぽで手ごたえはなかった。入るかな?という感じでした」と振り返るが、紛れもなく本塁打である。

立ち上がりに苦しんだチームを、コールドゲームにできる流れに持ち込んだ見事な一発だった。


もう1人の3年生はエースナンバーの小松。この日の姿で驚いたのが、投球フォームがサイドハンドになっていたこと。
昨秋まではオーバーハンド(参照2011年9月23日)だった面影はまったくなかった。
「この冬に青木監督と上里田(哲英)コーチに勧められてサイドハンドに変えました」と話してくれた小松。

春先はフォーム固めもあり、試合で登板するこがほとんどなく、「ポジションすらなかった」という厳しい日々。
それでも、新しいフォームを自分の形としだすと、サイドハンドから右打者に食い込むシュートが威力を増し始めた。
「ここのところグッと良くなってきた。宗接を見に来た(スカウトの)方も、小松はどこに行くの?」と問われるようになったと成長を感じ取る青木監督。

今年は1回戦から戦う神戸国際大附。春は表舞台(県大会)に姿を見せなかった分、この夏の初戦で他チームからも注目を浴びたが、苦労してきた3年生の活躍で初戦を突破した。

スターティングメンバー
神戸国際大附】 (主将)西岡弘顕
8南拳人
5渡邊大
6宮本拓斗
2宗接唯人
7武市誠
3高橋優
9甲斐翔太
1小松蒼馬
4小深田大翔

神戸鈴蘭台
9下里優雅
8中西健太
2岡坂篤弥
3伊藤祥吾
7大黒琢也
4加藤圭 (主将)
1米村仁志
5松村駿佑
6清水敬太

(文=松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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