試合レポート

市川vs伊丹北

2012.07.12

完封に繋げた好判断!

兵庫市川のエース右腕・笹倉洸兵(3年)が伊丹北打線を7安打無失点に抑え完封。2回戦進出を決めた。

味方打線は12安打を放ちながら3得点。毎回のようにチャンスを作りながらも得点を積み重ねられない展開でも、心が折れなかったエース笹倉。
「最後の夏なので、とにかく楽しんで投げようという気持ちでした」と公式戦初の9回完封を喜んだ。
徳永伸寿監督は、「四球を出さなかったのが良かった」と讃えた。

6回まで散発の4安打とほぼ完璧なピッチングを見せていた笹倉にとって唯一のピンチとなったのが7回。一死から、ミスが絡んだ内野安打など不運な形で満塁のピンチを背負った。
徳永監督は伝令を出し、「1点は仕方ない。1つずつアウトを取っていこう」と確認した。

直後、伊丹北の1番古結俊祐(3年)が笹倉の右側を抜ける痛烈なゴロを放った。これを、二遊間を詰めていたショートの大北将史(3年)がしっかりと捕球。二塁ベースを踏んで一塁に投げ併殺を完成させた。
「ショートの位置は見えていました」と笑顔を見せた笹倉。
グラブに近かったため、球に手を出しがちになるが、出して打球が弱まったり、方向が変わるのが最悪の形。それをあえてしなかった笹倉の判断もファインプレーと言える。
徳永監督は、「あれはたまたまでしょう」と笑ったが、「三遊間だったり、打球が少しでも弱ければダブルプレー(併殺)は取れなかった」と無失点が大きかったことを強調した。

9回、最後の打者を三振にきり、完封を果たしてもクールな表情で挨拶の列に並んだ笹倉。試合後の囲み取材では、「夏前に玉野光南盈進といった強豪とやって抑えられた」と、夏への自信に繋がっていることを話した。

その一方で、智辯和歌山との練習試合での大敗が良い経験になっていることもつけ加えた。
智辯和歌山の吉川(雄大)くんのピッチングフォームを見ていて、かなり勉強になった。今までの僕は、着地の足と腕(リリース)が一緒に出ていたが、腕を遅らせるようにすることを意識するようになった」と話す。
徳永監督も、「それまでは、外一辺倒だったが内を使えるようになってきた」と成長を感じ取っているようだ。

2回戦は春3位でシード校の明石が相手。相手は強いが、「次も楽しみたい」と前を向いた。


一方、敗れた伊丹北だが、再三のピンチを最少失点に抑えよく粘った。

先発の2年生エース・山野井誠は立ち上がりの2回をパーフェクトと素晴らしい出だし。4回に1点を失い、5回からは背番号18の佐藤将浩(3年)がマウンドへ。
佐藤は二死から最後のアウトを取るのに苦しんだが、157センチの体をいっぱいに生かした気迫溢れるピッチングで、兵庫市川にビッグイニングを作らせない。
7回途中からは三番手の左腕・岸原直矢(3年)が登板。こちらもピンチの連続だったが、8回二死二塁ではライトの本田竜太(3年)が、9回二死一、二塁ではセンターの新山征輝(3年)がそれぞれファインプレーを見せて得点を与えなかった。
攻撃では、7回にせめて得点できていればという惜しい展開。

試合後に涙を流す選手はいたが、3年生は立派な戦いぶり胸を張って高校野球から巣立ってほしい。

スターティングメンバー
【兵庫市川】 
7上田旺輝
6大北将史 (主将)
3谷口弘輝
5井上裕太
8植木芳匡
4原田喬
9福井聖人
1笹倉洸兵
2高岡勇斗

伊丹北
5古結俊祐
4上林大翔
9横山健太
8新山征輝
2中谷圭佑 (主将)
6樋上元
3桂木飛雄馬
1山野井誠
7辻井茂克

(文=松倉雄太)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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