ラ・サールvs大島北
『反省』あっても『後悔』なし
大島北は9回の一打サヨナラの好機も拙攻で生かせず、1点差で惜敗。5年ぶりの夏1勝は果たせなかった。
「私自身の未熟さも含めて、反省すべきところはたくさんある。でも後悔することは何もない。選手たちは精一杯やってくれた」と」と前野忠義監督は10人の選手たちをねぎらっていた。
ミスの多い展開だったことは否めない。先制点はエラーで与えたものだし、失点にはつながらなくても粘りの投球で切り抜けていたエース津止勝仁(3年)を守りで援護できなかった。
攻撃では、7回にスクイズで勝ち越し、更に追加点を挙げようと連続スクイズを仕掛けたが、決めきれずもうひと押しができなかった。
それは「4月からの3カ月間で高度なことを求めすぎて、彼らの力を引き出せなかった私の力不足」と指揮官は敗因を背負った。
「監督さんに1勝をプレゼントしたい」
4月に大島工から転勤して、最初の歓迎会で肥後信之介主将(3年)の言葉に発奮し、前野監督は新天地でも本気で強いチームを作ろうとやる気になった。二番手で好投した大茂高享(3年)は3月までキャッチャーだったのが、セカンド、ショート、ピッチャーとコンバートされたが「いろんなポジションを経験できて楽しかった」と振り返る。
地区大会は初戦で与論に延長14回で1点差負け、その後の練習試合でも1点差負けが続いた。ついでに言えば昨夏の初戦も延長15回の末、鹿児島第一に1点差負けだった。
『1点差の壁』は今回も乗り越えられなかった。
試合を終えた選手たちに前野監督は語りかけた。
「お前たちはどんなチームとも互角にやれる力は持っている。しかし1点何かが足りない。それが何なのか、これからの人生で突き詰めていこう」
唇をかみしめながら10人の部員たちは力強くうなずいた。
(文=政純一郎)