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「ルーティンの動作」に隠された事実

2012.07.29

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「ルーティンの動作」に隠された事実2012年07月24日

動きから心の変化を起こすことが大事

 今回のテーマは『ゲン担ぎ』ということであった。靴下は右から履くとか、試合の時はこのアンダーシャツを使うとか、こうしないと気持ちが落ち着かないとかいう選手の声も聞くし、実際選手にとっては大切なことであろう。しかし、今回はあえてスポーツ心理の立場からこれを選手が打席やマウンドで行っている「ルーティン」とおきかえて考えてみよう。

 よく知られているのはイチロー選手の打席に入る前、そして打席に入ってからのルーティンである。そもそも自分の投球や打撃の準備動作をルーティン化することは大切なのだろうか?

 答えは「Yes」、その効果は色々と考えられている。

・ルーティン化されたことのみに考えを集中できるので、余計なことを『考えすぎる』危険性が減る。


・今、自分がすべきこと(深呼吸し、落ち着いて、意識を集中して投げ込む、振る)に集中できる。


・ルーティン化されたことをきっちり行うことにより(行おうとするから)今に集中でき、さらに自分の行動をコントロールできていると感じ、自分に自信を持てる。


・ルーティンは日常を思い出させてくれ、ホームグラウンドでやっているような気持ちにしてくれる。このホームグラウンド心理こそ自信をよみがえらせ、普段の実力をシビアな場面で発揮できる心理状態を作ることが出来る。

 ルーティンを作るに当たり最も重要な点は、“動きから心の変化”を起こすポイントがあるということだ。このことを知らずしてルーティンを作っても効果は半減してしまう。

 体と心を結びつけているものは感覚と気分だ。そしてここでいうカンカクとはちょっと難しい言葉で言うと、無意志的反応と意志的反応を兼ね備えた筋骨格系の反応なのだ。ウーン、難しくて解らない!その通り、スポーツ科学の言葉で説明されても・・・、解り易く説明しよう。

 試合で緊張しているときを思い出してほしい。体中が固まってしまった感じがあったり、手が震える、胃のあたりが重い・固まった、足がうまく動かない・・・。これは、筋肉がみなさんの意志とは関係なく固まってしまった・・・つまり緊張してしまった状態だ。

 一方で筋肉は自分の意思で緊張させたり緩めたりできる。たとえば、両肩を上へあげてみると方の緊張を簡単に感じることが出来し、ストンと落とせば緊張が解けて緩まることを感じられる。これはみなさんが意図してやった意志的反応だ。

[page_break:心に影響を及ぼすことができるルーティーン]

心に影響を及ぼすことができるルーティーン

ルーティーンによって緊張もほぐすことが出来る

 さて、ここでみなさんにお聞きします。試合前や試合中の緊張する場面で肩や首に『あっ緊張してるな』と感じた筋肉の緊張と、肩を上げて自分の意思で作った筋肉が緊張した感覚の違いを解る人はいますか?おそらく誰も区別できないだろう。このように緊張という状態は気分(メンタル)から来る筋肉の緊張と、動作を自分の意思ですることにより起こる筋肉の緊張は判別がつかないのだ!

 さらに、試合前の緊張で気分だけの緊張って経験した人はいるだろうか。おそらく、ドキドキしたり、身体がかたくなったり、胃が重くなったりしているはずだ。だから自然にストレッチしてみたり、手首をマウンドで振ってみたりという筋緊張を解く行動を起こしているはずだ。

 このコラムを読む選手にここでハッキリと伝えよう。このように心と体をつなげるポイントは明確にあるのだ。そしてこのポイントこそが体と心の両方に影響を及ぼすことのできる重要な反応群なのである。

せっかくオリジナルのルーティンを作るのなら、そのポイントを知ってルーティン入れ込むのとはずしてしまうのでは全く効果が違う。ルーティンの動作によって心に影響を及ぼすことが出来るのだ。

 ここでは、そのポイントを以下にあげておこう。

■関係するメンタル

【呼吸】   燃える-冷静 
【筋反応】 緊張-リラックス
【表情】   快-不快
【発声】   ポジティブ-ネガティブ
【姿勢】   やる気・自信-不安
【歩行】   活発-不活発

 ここで、みなさんと実際にルーティンを一緒に作っていきたいところではあるが、個々の動作なのでコラム上では難しい。この部分はまた別の機会を設けられたらと思う。今回はこのポイントをヒントにして、自分自身でオリジナルルーティン作りにトライして欲しい。

(文・布施努

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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