試合レポート

鹿屋中央vs神村学園

2012.11.24

鹿屋中央vs神村学園 | 高校野球ドットコム

鹿屋中央・米澤

チーム全員の勝利・鹿屋中央

 鹿屋中央神村学園。現時点の1年生チームとしては最も力のあるチーム同士がぶつかり合い、2012年最後の公式戦を締めくくるのにふさわしい好ゲームだった。

 鹿屋中央は初回、1番・川崎拳士朗、2番・吐合駿一郎が連打で出塁し、3番・山下亮太の犠牲フライで瞬く間に先制点を挙げた。圧巻は2回の攻撃。先頭の6番・徳重仁が内野安打で出塁し、今度はバントで送って好機を広げると、二死から9番・七島拓哉のライト前タイムリーを皮切りに、4番・木原智史まで5連打を浴びせ一挙4点を奪った。

 長打はこの試合を通じて1本も出ていないが「ティーやトスバッティングで、ボールをしっかり捕える練習をしていたのが生きた」と川内大地主将。山本信也監督は「状況や、相手投手のボールを自分で判断して、打つ方向を決めて、鋭く打ち返すという指示を全員がしっかりやり切れていた」と評する。

 4回に捕逸と押し出しで7点目を挙げ、大勢が決まったかに思われたが、神村学園は3番手の左腕・植新太陽が好投し、ゲームを持ち直す。尻上がりに調子を上げた七島の前に、7回まで2回の4番・小島千聖のソロ本塁打による1点のみに抑えられていたが、8回に意地をみせた。2番・野﨑大成のレフトオーバー二塁打を皮切りに、4番・小島から3連打を浴びせ、6番・本田桂のライトオーバー二塁打などで4点を返し、一気に2点差まで詰め寄った。

 流れは神村学園に大きく傾いたが、鹿屋中央は2番手・米澤佑弥が好リリーフ。変化球を丁寧に低めに集めて後続を断ち、9回も3人で片づけて、「火消し役」を果たした。


鹿屋中央vs神村学園 | 高校野球ドットコム

鹿屋中央優勝

 鹿屋中央にとっては試練の1年間だった。春の1回戦でコールド勝ちして以降、全て2回戦敗退の屈辱。夏は国分中央に競り負け、秋の大隅地区大会を制してシード校で臨んだ秋は鹿児島城西にあわやコールド負けの大敗で、いずれも初戦で姿を消した。悲願である「大隅から甲子園」の1番手と長らく目されていたチームだったが、その座もこの秋の尚志館に先を越されそうな流れである。「負けっぱなし」のまま年を越すわけにはいかない意地がこの大会を勝ち抜く原動力になった。

 「秋が終わった時から、1年生大会で絶対優勝しようと全員が思っていた」と川内主将。山本監督は「2年生も協力してくれて、大会に向けて良い準備ができた」ことを勝因に挙げていた。平日の練習では「中央リーグ」と名付けて、6イニングの紅白戦を組む。1年生チームと2年生チームに分かれ、ベンチワークも監督やコーチではなく選手自身でやりながら、実戦感覚を磨いていく。秋の初戦敗退から約2カ月間、この大会のために準備してきたことで、1年生らしからぬ高い完成度のチームに仕上がり、鹿児島実樟南神村学園と薩摩半島の3強を倒しての優勝だった。山本監督は「準備に協力してくれた2年生も含めて、チーム全員の勝利。冬のトレーニングに向けて良いモチベーションができました」と来春以降の「捲土重来」に向けて弾みがついた優勝を振り返っていた。

(文=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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