横浜DeNAベイスターズ 荒波 翔 選手
第150回 横浜DeNAベイスターズ 荒波 翔 選手2013年05月15日
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中学・高校・大学と、多くの全国大会を経験してきた荒波翔選手。中学では戸塚シニアで全国制覇を経験。横浜高校時代も、3年春のセンバツで準優勝。その後、東海大、トヨタ自動車と名門チームで結果を残し、2011年に横浜DeNAベイスターズに入団。
プロ入り2年目の昨シーズンは、ゴールデングラブ賞を獲得。今シーズンも開幕戦からスタメン出場し、大きな活躍を残している。今回はそんな荒波選手に、走攻守のすべてにおいての自身のポイントをお伺いしました。
高校時代で身に付けた走塁・守備の基本
――横浜高校時代の野球で今でも生きている考え方などはありますか?
荒波翔選手(以下「荒波」) そうですね、例えば、守備では打者のバットの角度などを見たりして守備位置を変えています。走塁は相手の隙をつくなど、そういった走塁・守備での基本は、高校時代に教えていただいたことが、プロ入りしてからも生きています。
横浜DeNAベイスターズ 荒波翔選手
――高校1年夏もレギュラーで甲子園に出場してベスト4。当時の甲子園の雰囲気は今でも覚えていますか?
荒波 覚えていますよ。試合開始を待っている時が、今まで一番、緊張した瞬間でした。今でも、テレビで甲子園を中継していると、高校球児の一生懸命なプレーについ見入ってしまいます。自分自身も初心を思い出しますね。
――荒波選手といえば、高校・大学・社会人でも1年目から、レギュラーを獲って活躍してきましたが、新しい環境ですぐに力を発揮できる要因は何でしょうか?
荒波 新しいところに入るということは、チャンスは誰にでもあると思っています。他のみんなも緊張しているので、そんな中でアピールしていくためには、自分の力を100%発揮できるように、しっかりと準備することが大事だと思っています。
――荒波選手もプロ入り1年目から、二軍のグラウンドで一人残って、守備練習をひたすらされていましたね。そんな中で、見つけ出したオススメの守備の練習方法があればぜひ教えてください。
荒波 僕は、守備が持ち味で、それをアピールしなければならないという気持ちがあったので、そこをより強く意識して取り組んできました。
練習においても、ただ打球を追うのではなく、例えば打球に追いつたら、捕球体勢だけではなく、二塁、三塁へ投げる体勢もすぐにとるという習慣を意識付ける。それをやるか、やらないかだけでもだいぶ違いますね。
今振り返ってみれば、それを高校の時にやっていれば、もっと良くなっていたかなという気持ちもあります。だから、高校生の皆さんにはぜひ普段の守備練習からそういう意識を持ってやって欲しいと思います。
――なぜ、荒波選手は守備でアピールしようと思われたのでしょうか?
荒波 走力が持ち味だと感じているからです。その面から守備以外だと、走塁もそうです。打撃は自分より力のある選手が多くいますが、足は特に自信を持っているので、走力を生かせる守備や走塁の面でアピールしていこうと決めました。
[page_break:荒波選手の走攻守におけるポイントをすべて伝授!]荒波選手の走攻守におけるポイントをすべて伝授!
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――では、まずはその守備について深く伺っていきたいと思います。外野守備で上達するため、大事なポイントとは、どんなことだと考えられますか?
荒波 ノック以上に、打撃練習で、打者が打ったボールを捕ったほうがより実戦につながると僕は感じていますね。その時の前後の打球の判断を磨くために、打球の行方を見て、どれぐらい走れば、打球に追いつくイメージでやるかを考えながら打撃練習で守っています。それは、高校時代から、ずっと意識してやっていますね。
――そういった基本の積み重ねが、昨シーズンのゴールデングラブ賞につながったのですね。
荒波 受賞は嬉しかったですね。守備において、一歩目の反応は、自分が思ってすぐ動けるかどうかが大事です。“前”と思ったら、前へスタートを思い切り切ることができれば、捕れますし、逆に迷いが出ると反応が遅れる。ここだ!と判断して少しでも早く動けると守備範囲は広がるので、高校生の皆さんにも思い切り良くスタートをきることを大事にして欲しいと思います。
「ベースランニングは踏む足を投手側に蹴る」とベースランニングのポイントについて語る荒波選手
――なるほどですね。ありがとうございます。では、今シーズンも素晴らしい走塁をみせている荒波選手ですが、あれほどの速いベースランニングの技のポイントというのは?
荒波 そうですね。ベースランニングは、踏む足を投手側に蹴るようなイメージで、塁を踏んでいくことですね。子供の頃は左足で踏むことを教わることが多いのですが、僕の場合は右足で踏むことが多いです。踏む足を投手側に蹴る。これは僕なりの感覚のベースランニングですね。
――社会人野球時代も走塁のレベルは高かったですが、プロ入り後に、さらにこだわりを持つようになったことはどんなことでしょうか?
荒波 スタートの切り方、スライディング、投手のクセなど、あまり社会人時代には、こだわらなかったことを研究するようになりました。練習では打撃投手のタイミングで合わせたり、スタートの切り方、力の入れ方や、抜き方をイメージして練習に取り組んでいます。
――それは、長期的に実践することで身についていく感覚なのでしょうか?
荒波 『毎日、意識的にやる』ということを重ねることで高まるものだと思います。とくに、今年は走塁に力を入れていて、それを伸ばすためにオフにずっと取り組んできました。今年は、勝負のシーズンだと思っているので、どんどん走りで魅せていきたいですね。
――では、合わせて、バッティングについても教えてください。高校時代の打撃でのポイントと比べると、現在は全く違ったポイントで打っていますか?
荒波 そうですね、だいぶ変わりましたね。高校時代の構えと比べて、リラックスして、自然と構える気持ちで立っています。
自分自身のチェックポイントとしては、バットを握っている手が、握っていないような感覚になるまで、軽く握ることができるかどうか。本当に持っているだけのイメージで構えています。
これは、プロに入ってから指摘されたことで、自分は上半身の力が入りやすいので、それを防ぐために軽く握るようにしています。インパクトのポイントは、高校時代からそれほど変わっていないですね。
個人練習は周りと差をつけるための練習
「横浜DeNAのセンターと言えば荒波といわれるような選手を目指して、走攻守で活躍したい」
――今シーズン、どんなプレーをみせていきたいという思いがありますか?
荒波 横浜DeNAのセンターといえば、荒波だと周りの人に認めてもらえるように頑張っていきたいですね。
守備であれば、誰も捕れない打球を捕ったり、足ならば、内野ゴロを内野安打にしたり。ファンの皆さんにも、そういうところで喜んでいただいたり、すごいなと思われるようなプレーをみせていきたいですね。
――では、荒波選手が、野球選手として、いまでも貫いている姿勢とは、どんなことでしょうか?
荒波 努力する姿を見せないことですね。昔から、みんながいるところでは努力していないふりをして、陰で打ち込むタイプでした。というのも、一人でやるほうが集中できますし、自分の中では、みんなでやる全体練習は、チームとしてみんなで成長するものであり、一人の練習は、周りと差をつけるためのものだという考え方だったんです。
――いずれにせよ、走攻守において、高いレベルを求めていくためには、日頃の努力は必要不可欠だということですね。
荒波 そうですね。自分は高校の時も今も、試合の結果問わず、試合後は練習してから帰っています。それは、やらされる練習ではなく、自分からやる練習。その練習時間でどれだけ意識高く取り組めるかで、今後の成長度合いが変わってくるのかなと考えています。
――それでこそ、実際の試合で結果となって表れてくるのですね。
荒波 地道な練習を続けていれば、必ず報われる時が来ると思っています。辛いですけど、自分自身が求めているプレーができる日がくると信じています。僕は練習でも厳しくやっていますし、その分、試合では自信を持ってグラウンドに立っています。高校生の皆さんも、苦しいことが多いですけど、最後は報われると思って、本番では自信を持ってプレーしてもらいたいですね。また、高校野球は、一生懸命さに、見ている人が感動するのだと思います。僕はいまでも、常に全力でやることを心掛けています。
高校時代からの陰の地道な努力あってこそ、荒波選手は今、プロの世界でファンを魅了するプレーをみせることが出来ているのですね。
荒波選手、貴重なお話、ありがとうございました!