試合レポート

花巻東vs彦根東

2013.08.13

今年はチーム力で勝負!花巻東が9得点で快勝!

 今年の花巻東大谷 翔平(3年)のようなタレントはいない。だが個々の胆力は高く、野球が出来る選手が多い。花巻東らしいつなぎの野球を見せた。

 花巻東に2回表に一死から6番多々野 将太(3年)が右前安打、6番太田 亮佑(3年)がライト線を破る長打を放ち、多々野が一気に生還。花巻東が1点を先制する。さらに7番 茂木 和大 (2年)の中前安打で1点を追加。3回表は2番千葉 翔太 (3年)が13球も粘って、四球で出塁。第1打席でも8球目に内野安打。つまり2打席で21球を投げさせているということである。花巻東の2番打者はファール打ちで粘れる選球眼の高い左打者が付くのが条件なのだろうか。二死となって5番多々野が右超え二塁打を放ち、1点を追加する。4回表にも一死一、二塁から1番八木 光亘(3年)の右前適時打で1点を追加。一死一、三塁で2番千葉の遊ゴロの間に1点を追加する。ここまで5対0。

花巻東の先発の中里 優介(3年)は常時135キロ前後の速球、キレのあるスライダー、カーブを投げ分ける投手で、4回まで無失点に抑える好投を見せ、切れのある速球を投げる実戦派左腕という印象を受けた。だが5回裏、大沢 視人(3年)のライト線を破る二塁打を放ち、5番藤谷 康平(3年)は三振に倒れ、一死二塁となって6番田中 良(3年)は左前安打を放ち、1点を返すと、さらに7番武田 圭太(3年)から右三塁打を放ち、1点を返し、5対2。8番平尾 拓也(3年)は四球で一死一、二塁となって9番辻 天薫(3年)の投ゴロで二死となったところで投手交代。花巻東の2番手は左腕の細川 稔樹(2年)を投入。細川は後続の打者を打ち取る。

花巻東は7回表に一死二、三塁から4番山下の内野ゴロの間に1点を追加、8回表には二死一、三塁から1番八木 光亘(3年)が中前適時打。さらに二死二、三塁となって2番千葉も左前2適時打を放ち、9対2と彦根東を突き放す。

 その裏、彦根東は無死一、三塁から3番山中 俊亮(3年)が左中間を破る二塁打で1点を返し、無死二、三塁から4番大沢の左犠飛、さらに6番田中の右前適時打で9対5とする。

 この流れにのって彦根東は9回表、2番手右腕・田辺 拓士(3年)が三者連続空振り三振。日本ハムの榎下 陽大を彷彿とさせるような反動を付けた常時130キロ後半の直球、縦に鋭く落ちる変化球のコンビネーションが素晴らしかった。188センチと上背もあり、ポテンシャル的に惹かれるものが大いにあった。

 しかし、その裏、細川が守りぬき、花巻東が3回戦進出を果たした。今年の花巻東は先の塁を徹底的に狙う姿勢は今年も健在で、打線も左投手の平尾に苦にせずに打ち返す打撃は見事だった。プロへ進んだ菊池 雄星大谷 翔平と2人の投手を輩出したが、選手の個性を伸ばしながらも、戦略的な野球を展開するチームである。例年以上にチームワークが厚い好チームで今後はどんな戦いを見せるか大いに注目したい。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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