試合レポート

明徳義塾vs高松一

2013.10.22

明徳義塾vs高松一 | 高校野球ドットコム

明徳義塾・岸潤一郎

「深化する打撃」で明徳義塾、別格の初戦突破!

 打線は最速141キロを軽々とマークした明徳義塾エース・岸 潤一郎(2年)のストレートに的を絞り7回の連打含む3安打。投手陣も先発・髙畑 遼(2年)を4回途中リリーフした左腕・中川 雄太(2年)は今夏香川大会直前、けがで無念の登録外となった元エースの矜持を、続く3番手・大野 夏都(1年)も公式練習から伸びを示していたストレートを中心に2回無失点。「選手はよくやりました」と第一声を発した田中重行監督のコメントを借りるまでもなく、高松一はよく闘った。

 が、今大会で高知商高松商を超える秋季四国大会最多優勝8回を目指す明徳義塾はレベルが数段上だった。岸や一歩目の速さが抜きん出ているディフェンス力はもちろんのこと、高知県大会通じ初先発マスクの主将・水野 克哉(2年・右投右打・175センチ75キロ・愛知・東名古屋ボーイズ出身)も立ち上がり2四死球と不安定だった岸を立て直すリードで完封勝利に貢献。「1つ1つ確実に勝っていく」馬淵史郎監督の指示を体現した。

 また、驚かされたのが打撃面である。「ウチは18個アウトは取ったが、形の悪いものがない」と敵将も称したように、凡打も含め内容は明らかに向上している。その裏には「岸を助けたい」(3番・多田 桐吾左翼手<2年・右投左打・170センチ63キロ・ニュー・ヤンキース<大阪>出身>・談)高い意識があるからだ。

 例えば高知県大会18打数6安打3打点も終盤に調子を崩していた1番・大谷 勇希中堅手(右投左打・165センチ70キロ・70キロ)が「監督さんや佐藤洋部長、藤山晶広コーチからトップを作るためのタイミングの取り方についてアドバイスを頂いて、それを少しアレンジして初回の三塁打はベルト付近を強く叩けた」と、4打数4安打2打点3得点1盗塁の過程を明かせば、高知県大会18打数13安打9打点4盗塁、打率.722の好調を維持し、この試合でも4打数3安打2打点2盗塁を記録した多田も「この四国大会ではみんな朝から欠かさずに素振りをしながらフォームチェックしているし、練習からインサイドアウトを意識してずっと打っている」とチーム内の統一性を強調した。

 加えて明徳義塾には遠征にありがちな練習量の不安もない。昨年、済美(愛媛)が高知県開催の秋季四国大会で、既に県大会準々決勝で敗れていた明徳義塾野球道場を利用したことから、今大会で明徳義塾は愛媛県大会1回戦で敗れた済美の球技場及び室内練習場を使用。馬淵監督と上甲正典監督の盟友関係も、明徳義塾のチーム力向上を後押ししている。

 「今治西は力のあるチーム。準決勝はいい試合になる。勝たなければセンバツには行けないと思うので望むところ」と試合後の馬淵監督。その目線は既に4年前に今治西にこの地で2回戦・3対4とサヨナラ負けし、2年前にも準決勝で高知法兼 駿(現:亜細亜大1年)に9回表逆転3ランを浴びるなど、屈辱を味わった秋季四国大会の因縁を一気に晴らす闘志に満ちていた。

(文=寺下友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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