試合レポート

白鷗大足利vs東陵

2014.03.23

2年生3番打者が4本の二塁打!読み切った第1打席と冬場の成果を活かした第2打席!

 見事な先制攻撃が効いて、得点を重ねた白鷗大足利東陵の投手陣から15安打で9点を奪って、初出場の選抜で1勝を挙げた。

 「大振りせず、コンパクトに強い打球が打てていたと思います」と攻撃陣を讃えた藤田慎二監督。中でも、「初回のタイムリーが大きかった」と3番大下誠一郎(2年)の先制二塁打を勝因の一つに挙げた。

 1回表にピンチを背負ったものの、無失点で切り抜けた白鷗大足利。その裏、1番周東貴人(3年)が、内野安打で出塁した。2番中島健寿(3年)が送って、一死二塁で3番の大下が打席に向かう。
 東陵の先発・佐藤洸雅(2年)が、二人の打者に投じた5球を観察して、感じたことがあった。

 「最初の二人のバッターが、外中心の投球だった。(それに)3番の自分にはまともに真っ直ぐでは勝負してこないとも思いました」。

 佐藤の大下に対しての投球は、まさに外角中心。それに1球目と2球目が変化球と、大下が感じた通りだった。そしてこの2球でストライクが取れなかった佐藤は、3球目を迷いなく決めた。
 「2ボールでストライクを取りたいという気持ちが強かった」と直球を選択。
 打席の大下は、「2ボールになって、真っ直ぐが来るとしたらここだなと思って、ヤマを張りました」と狙いを直球に定めた。

 投手と打者、双方の読みが一致した3球目。「高めに浮いてしまった」という佐藤の直球を、大下のバットが捕えて、打球は三塁線を破った。二塁から周東が生還。勝負の場面を勝った大下は、二塁に達した後に笑顔を見せた。


 流れを掴んだ白鷗大足利。3回裏の攻撃で、再び大下に打席が回る。場面は一死一塁。「最初に真っ直ぐを打っていたので、次は変化球だなと思って打席に立ちました」と佐藤に対する。
 2ボール1ストライクからの4球目、佐藤が投じたのは変化球。『待ってました』と言わんばかりの球を、大下は逆らわずに打ち返した。
 「手応えがあった」という打球は右中間を破り、一塁走者の中島が一気に生還。勝敗への流れれを決定づける一打を、またも2年生が放った。「素直にうれしいです。ずっとバッティングに悩まされてきたが、冬にやって成果が出せた」と振り返り、報道陣の前で満面の笑みを見せた。

 パンチ力のある大下が悩み続けてきた部分。聞かれた本人はこう答えた。
 「体が前に突っ込んじゃう面があった。足を上げるのはリスクがあるので、下半身を強化して、右足を乗せるように練習してきた」。
 さらに、「秋までのバッティングでは、力で持っていこうとしていたので、2打席目のようなバッティングはできなかったと思う」とも付け加えた。

 ベンチの指揮官は、「気持ちが先に行きたがる子。その辺りのメンタルと、技術的な所も心に動かされる部分がある」と分析する。そして、2打席目を右中間に持ってことを、「これが彼本来のバッティングです」と目を細めた。
 結局、この試合で大下が放った4安打全てが二塁打。冬場に藤田監督がつきっきりになって練習したことを活かせた大下は、最後にこう締めた。

「監督さんに感謝です!」

 

(文=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.28

スコアラーが8ヵ月後エースに急成長! オリドラ2ルーキーを輩出した聖カタリナ学園(愛媛)に今年も190cm大型投手が現れる!

2024.06.28

ノーシードのダークホース本命?!翔凜がノーサインで大躍進を狙う!

2024.06.28

札幌国際情報が初戦で秋春全道大会出場の実力見せる、29日の札幌支部予選【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.26

【北北海道】北見支部では春全道4強の遠軽が登場、クラーク記念国際と好勝負演じた力見せる【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!