樹徳vs健大高崎
つないだ樹徳18安打で、3本塁打の健大高崎を突き放す
2回に3ランを放ち三塁ベースを回る柘植君(健大高崎)
どちらも打線には力があるということは分かっていたので、4~5点をめぐる試合になるのではないかとは思っていた。両監督も、おおかたそれくらいのスコアが目安になるだろうという腹づもりのようだった。
ところが、それどころではない、その倍の得点が入る攻防となった。
先制したのは樹徳で2回、7番佐伯君、8番周藤君の左翼への連続二塁打でまず1点。続くホジャティ君も中越三塁打し、下位の3連続長打で2点が入った。
1番に返って渡辺君も中前打し、注目の好打者3番の野平君も中越三塁打するなどでこの回いきなり、目安の5点が入った。
ところが健大高崎も黙ってはいない。その裏すぐに、8番柘植君のレフトへの3ランで追い上げる。さらに、3回にも4番脇本君が上手く引きつけて、ライトへソロホーマーを放って、たちまち1点差となった。
こうなると、試合は頻繁に動くようになる。
健大高崎は先発したエースの高橋和輝君が2回途中で降板し、池田君がリリーフしていたが、その池田君も4回に掴まり、早くも3人目の松野君を投入せざるを得なくなってしまった。その松野君の代わり端を叩いた6番山本君の2点タイムリーで再び樹徳が突き放しにかかろうとする。
しかし、健大高崎もすぐに追いかける。
その裏、柴引君がレフトへソロホーマー。さらに、松野君、平山君の連続二塁打で再び1点差となった。
激しい点の取り合いとなったが、5回の樹徳は死球と失策絡みで1点を加え、なおも一死満塁。
ここで健大高崎は4人目の川井君を投入するが、またしてもその交代直後に山本君が左前打し、佐伯君も中越二塁打でこの回3点が入った。
6回にも野平君のタイムリーでさらに1点を加えた。追いかける健大高崎も3番長島君の右中間2点タイムリー二塁打などでまだまだ混戦状態が続いていった。
8点を失うも完投したホジャティ君(樹徳)
それが、7回からぴたりと止まった。ホジャティ君も初めて3者凡退に抑えた。
結局試合は、そのまま樹徳が逃げ切るという形になった。ホジャティ君は3本の本塁打を浴びて、10安打8失点しながらも完投した。
樹徳はこれで、3年ぶり6回目の春季関東大会出場が決まった。
さすがに試合後、樹徳の井達誠監督は疲れた表情だった。
「いやぁ、キツイ試合でしたね。5点がすぐに入ってしまって、別にそれで気を抜いたということがあったわけではないのでしょうけれどもね」と、乱戦を制した感想だった。
ホジャティ君に関しては、
「調子は悪いとは思いませんでしたよ。むしろ、健大さんの打線が、やっぱり力強いんじゃないでしょうか。ただ、本塁打でしたから、それは仕方がないと思っていました。これが、繋げられていたら、代え時とか考えなくちゃいけないかなとは思っていましたけれども…」と、話していた。
そして、「また一つ、ランクを上げて経験ができるということは大きいと思います」と、関東大会への出場に、改めて気持ちを引き締めていた。
3本塁打しながらも破れた健大高崎。
この日は、爆発力は見せたものの、持ち味の“機動破壊”はいくらか空回り気味でもあった。
しかし、それよりも何よりも11失点はやはり計算外だったのだろう。「夏までの課題はいっぱい見つかりました」と言う青栁博文監督。
「高橋和輝はいつも、立ち上がりはあまりよくないので、四球があってもいつもと同じでそんなに悪いとは思っていなかったんですけれども…、(2回の)あんな展開になってしまうと、回も早かったですし、代え時も難しいですね」と、いくらか悔いていた。
それでも、期待していた脇本君や柴引君に一発が出たことは喜んでいた。そして、「投手陣の整備ですね」と、夏へ向けての再準備を誓っていた。
(文=手束 仁)