【侍ジャパン18U代表】報徳学園高等学校 岸田 行倫選手
侍ジャパン18U代表の3番に座る岸田行倫(報徳学園)。高橋 広監督のユーティリティプレイヤーとしての期待に十二分に応えているといっていいだろう。その岸田の魅力に迫る。
高橋 広監督がユーティリティプレイヤーとして期待する岸田行倫
一塁手もこなす岸田行倫(報徳学園)
「彼は岸潤一郎(明徳義塾)とともにユーティリティプレイヤーとして期待しています」
と高橋 広監督が期待するのは報徳学園の岸田行倫である。今年の甲子園では捕手だけではなく、投手としてもマウンドに登った選手で、野球センス溢れる、かつ広い視野を持った好選手である。
彼も木製バットへの順応は早かった。夏の大会を終えてから、次のステージを見据えて、すぐさまに木製バットの練習に取り組んだ岸田。1か月間の練習の成果もあり、打球は力強い。今日のフィリピン戦も、初回に痛烈な二ゴロ安打を放ち、さらに2回表にも、左中間を破る二塁打を放ち、さらに4回表。岸田が打席に立つ前、2番峯本 匠の打球がネクストで構えていた岸田の足に直撃した。悶絶する岸田。高橋監督はこう振り返る。
「代えても良かったですよ。無理させたくないから。でも本人は打席に入るといってね」
打席に立った岸田は左前安打を放った。これには高橋監督も、
「本当に大したものですよ」と手放しで褒めていた。
3安打に岸田は
「やっとですが、木製バットでも自分の打球が打てるようになった感覚を感じます」
手応えを感じている様子だった。また今大会では一塁を守っているが、実は岸田は一塁手の経験がない。だが、岸田は練習を重ねながら、一塁手のポジションに慣れていき、この試合では4回表に無死一、二塁と唯一のピンチを迎えたが、バントを試みた相手打者が打ち上げた打球をダイビングキャッチ。見事に併殺に収め、危機を救った。
岸田はこう話す。
「今までは捕手として投手を支える立場でしたが、一塁手になっても、声をかけながら、投手を気遣いしていきたい」
打撃技術の高さ、一塁手もこなす野球センスの高さ、ファールの打球を喰らっても、我慢しながら、ヒットにする我慢強さ。そしていつでも投手の配慮を忘れない優しさ。ここぞというときに発揮できる勝負強さ。いろいろなプラスアルファを持った選手だからこそ、3番ファーストと言う役割を任されているのだろう。
ここに高橋監督らしいこだわりが見えた起用といえるが、その期待に十二分に応えているといっていいだろう。
(文・河嶋宗一)
【試合レポート】18U日本代表vsフィリピン(2014年9月01日)