八戸学院光星vs九州学院
流れを変えるきっかけはどこ??
立ち上がりに1点を先制した九州学院。エースの伊勢大夢(3年)は、走者こそ出すものの、2回までを20球で終え、まずまずの出来のように思えた。
だが、4回に犠牲フライとワイルドピッチで逆転されると、終盤の8回には打者一巡で7点を奪われるビッグイニングを作ってしまい、勝負は決した。
八戸学院光星に流れを変えるきっかけとなった場面が3回表にある。先頭の8番・澤谷晃祐(3年)の打席だ。マウンドの伊勢は先に2ストライクを取り、澤谷を追い込んだ。しかし狙って打ち取れるだけの決め球が少ないことに目を向けた澤谷はここからファウルで粘った。フルカウントになり、10球目を打ってショートゴロに終わるが、八戸学院光星ベンチに『粘っていけばどこかで必ず甘い球が来る』という自信を与えた。そして続く4回表の攻撃で逆転に成功。澤谷はヒットこそ打てなかったが、チームに流れを呼び込むという意味では大きな働きをしたと言えるだろう。
その澤谷は試合後にこんな感想を話した。
「立ち上がりに一、二塁間を破られるタイムリーを打たれたのは、ファーストの自分が判断ミスをしてしまったからなんです」。
確かにファーストベースに戻るのは少し早かったが、見た目では一、二塁間は広く開いていたので仕方ないように思えた。それを判断ミスと感じた澤谷には何とか攻撃で取り戻そうという思いが生まれたのだろう。
さて、八戸学院光星のエース・中川優(3年)は、球種の多彩さで九州学院打線に中々的を絞らせなかった。対する伊勢も同じようなコントロールタイプの投手ではあるが、球種は中川が多い。さらにキャッチャーの中原力也(3年)が「悪いなりのピッチングでした。秋のような調子には戻りきっていなかった」とも明かした。本調子ではない上に、球種が少ない伊勢は粘られると苦しいのはやむを得ないように感じる。