常総学院vs石岡一
怒涛の連打で追い上げる石岡一をなんとか振り切り、辛勝の常総学院
![](/hb/images/report/ibaraki/20150502001/photo01.jpg)
先発の木村玲央(石岡一)。8回にも再びマウンドへ
春季茨城県大会準決勝、第1シード・常総学院と第4シード・石岡一のカード。
先攻・常総学院の先発は背番号10の右腕・菅原一泰。後攻・石岡一の先発は背番号1の左腕・木村玲央だ。
試合序盤は、完全に常総学院のペースで進む。
0対0で迎えた5回表、常総学院は先頭の8番・皆神裕平がライト前ヒットとライトのエラーで無死二塁とすると、四死球などで二死満塁に。ここで4番・和田慎吾は押し出しの四球を選び、常総学院が1点を先制する。なおも二死満塁で、5番・石井大貴はライト前2点タイムリーを放つと、中継ミスを逃さず和田が一気に生還。この回、一挙4点を奪う。
(常総学院4-0石岡一)
6回表、石岡一先発・木村が先頭打者に四球を与えたところで、石岡一ベンチは2番手に背番号11の右腕・高崎大幹をマウンドへ送る。高崎はその後の打者を3人で切って取る。
7回表、常総学院は一死から3番・荒原祐貴が四球で出塁。二死一塁となってから、5番・石井、6番・高瀬将太郎の連打で1点を追加する。
(常総学院5-0石岡一)
石岡一は6回まで常総学院先発・菅原にパーフェクトに抑えられるが、7回裏、意地の反撃を見せる。
一死から2番・濱田虎太郎がセンター前ヒットで出塁し、3番・本多啓直もライト前ヒットで続くと、ワイルドピッチで進塁し一死二、三塁とすると、4番・岩本泰樹のセンターへの犠牲フライで1点を返す。
(常総学院5-1石岡一)
8回表、石岡一は一死二塁のピンチを迎えると、ファーストの守備についていた木村を再びマウンドへ送り、ピンチを脱する。
![](/hb/images/report/ibaraki/20150502001/photo02.jpg)
8回からマウンドに上がった鈴木昭汰(常総学院)
8回裏、石岡一はさらに反撃する。一死から7番途中交代・方波見がセンター前ヒットで出塁。続く8番・木村のセカンドゴロはゲッツーコースだが、セカンドが二塁へ悪送球し一死一、二塁。送って二死二、三塁。迎える1番・飯泉拓郎はカウント1ボール2ストライクから真ん中低めのスライダーを泳ぎながらも左手1本ですくってセンター前に弾き返し、2点を返す。
常総学院はたまらずここで2番手に背番号1の左腕・鈴木昭汰をマウンドへ送る。しかし石岡一の勢いは止まらない。二死一塁とし、2番・濱田はライト前ヒットで二死一、三塁とチャンスを広げ、3番・本多のレフト前ヒットで1点差まで追い上げる。
(常総学院5-4石岡一)
1点差で迎える9回裏、石岡一先頭の5番・田中悠也がファースト強襲ヒットで出塁し、送って一死二塁と一打同点のチャンスを迎えるが、7番・方波見は見逃し三振で二死。8番・木村は四球で二死一、二塁とするが、9番代打・金子は空振り三振に倒れ試合終了となる。
第1シード・常総学院が1点差ゲームをものにし、関東大会出場を決めた。
序盤は常総学院・菅原が凡打の山を築き、5点差となったときには一方的な試合となるのかと思ったが、石岡一が怒涛の連打で1点差まで詰め寄り、終盤はどちらに転ぶか分からない手に汗握る展開となった。
石岡一バッテリーは、常総学院4番・和田慎吾を徹底的にマークし、1打席目から3打席目までの全3打席は、和田が打席に入る前に捕手・下田がマウンドへ駆け寄り、何かしらを確認をする場面があった。その甲斐あってか、1打席目は空振り三振。2打席目はセンター前フライに切って取っている。しかし、3打席目は際どいコースを見極められ押し出しとなった。
コントロールに定評のある石岡一エース・木村玲央だが、この日の与四死球は5だ。5回は3つの四死球を与え、これがいずれも失点に繋がった。特に3つの四球は全てフルカウントからで常総学院打線がしぶとく見極め、ときにはカットで我慢比べし勝ち取ったものだ。これまで木村を見てきて奪三振率が高い投手であるという印象を持っていた。
実際、今大会でも3試合15イニング、打者54人に対して奪三振数14(ちなみに与四球1)と、ほぼ毎回の奪三振を記録している。しかし、常総学院打線を相手に奪った三振は和田から奪った1つのみだ。このことからも、常総学院打線がいかにしぶといかがうかがい知れるだろう。
秋に続いて関東大会出場を決めた常総学院だが、相手の追い上げムードの中、2番手に登場した鈴木昭汰はスライダーの制球に苦しみ、高めに浮いたところを痛打され、打者8人に対して3安打を浴びた。苦しい局面を突破できたことを今後のさらなる飛躍の糧として欲しい。常総学院の関東大会ので躍進を願っている。
(文=伊達 康)