試合レポート

秋田商vs龍谷

2015.08.10

秋田のドクターK・成田 翔、16奪三振の全国デビュー

 アウトローに伸びるストレート、低めに集まるカーブ、スライダーは全て一級品。秋田大会5試合で55個の三振を奪った秋田商のエース左腕・成田 翔(3年)を左打者が攻略するのは容易ではない。
プレート一塁側いっぱいから左打者のアウトコースへはより遠くへ投げ込む成田翔は、スタメン9人中7人が左打者の龍谷打線を手玉に取る。

 注目された立ち上がりは石橋 優希(2年)、川添 直仁(3年)、9987(3年)と3人並んだ左打者を相手に三者連続で空振り三振。伸びのあるストレート、ワンバウンドに思わず手が出てしまうほどキレのいい変化球は、どちらもカウント球としても決め球としても威力を発揮した。

 2回の先頭、龍谷の4番・増岡 広晃(3年)は右の強打者だったが空振り三振。春の九州王者の上位打線を完璧に封じた。その後も成田翔の快投は続き4回までノーヒット、出したランナーは四死球による2人だけ。奪三振はすでに9を数えた。

 1点リードの5回、先頭の龍谷のキャプテン・松永 丈治(3年)の三遊間に飛んだ打球にショート・草彅 輝也(3年)が追いつくも一塁送球は間に合わず内野安打。初めてヒットによるランナーを出すと松永はパスボールで二塁に進み、続く北村 大空(2年)にライト前ヒットを打たれる。三塁を回った松永は一旦止まったがライト・近野 斗維(2年)が弾くのを見ると走り出し本塁生還。守備の乱れから同点を許した。さらに久野 隼輝(2年)の送りバントで勝ち越しのランナーを得点圏に背負ったがこの場面は空振り三振とセンター・会田 海都(3年)のファインプレーでピンチを脱出し2点目のホームは許さなかった。

 秋田商成田翔の好投が続く中、龍谷の先発左腕・池田 智浩(2年)も粘投を見せる。時には上から、時には横からと投げる位置を変え初回に1点を失うがその後はランナーを出しながらも無失点。
6回二死満塁のピンチも代打・高嶋 祐斗(3年)を空振り三振に打ち取り切り抜けた。続く7回にも二死満塁とするが、4番・小南 天耀(2年)をインコースのストレートで追い込み最後は低めに決まるチェンジアップでまたしても空振り三振を奪いピンチ脱出。

 8回も一死二、三塁と絶体絶命のピンチを招くがスクイズを試みた相手が低めのスライダーを空振りし三塁ランナーをタッチアウト。二死三塁となり延長戦の可能性も見えてきたが、3イニング連続の大ピンチに踏ん張り切れず工藤 慶(3年)、会田に連続タイムリーを浴び無念の2失点。最後は背番号1の矢ヶ部 航(2年)にマウンドを譲った。

 援護をもらった秋田商のエースは再び力を入れ、初ヒットを打たれた松永を空振り三振に打ち取ると続く北村もストレートで見逃し三振。最後は代打・矢野 駿典(1年)をワンバウンドする低めのスライダーで空振り三振。142球の熱投で1失点完投し被安打わずかに3、27個のアウトの内三振によるものが16個。外野に打球が飛んだのはレフト、センター、ライトにそれぞれ1度だけ。秋田のドクターK・成田翔が全国に存在感を見せつけた。

(文=小中 翔太


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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