【センバツ】関東一（東京）、新戦力で夏春連続出場！

臼井部長、松橋校長、米沢監督

　午後3時15分ごろ、電話に出た松橋 勝政校長は、「謹んでお受けいたします」と、改まった口調で応じた。秋季都大会の優勝（試合レポート）で事実上確定していたとはいえ、関東一が3月20日に開幕する今年のセンバツに2年ぶり6回目の出場をすることが正式に決まった。外は小雨が降る中、玄関ホールに集まった選手たちは、松橋校長から出場決定の知らせを受けると、顔から笑みがこぼれてきた。

「自分自身、センバツは4回目ですけど、電話を待っている時から緊張していました」と米澤 貴光監督は語る。

　昨夏の甲子園で、オコエ 瑠偉（東北楽天）らを擁してベスト4に進出した関東一であるが、ベンチに入っていたのは、佐藤佑亮と竹井丈人の2人だけで、正選手はいない。甲子園でベスト4まで勝ち残った分、新チーム結成も遅れたが、スポットライトの当たらない所で努力してきた選手が、夏春連続出場を果たした。

「スター選手はいません。でもこのチームなりのいいところがある。そこを鍛えて、甲子園に臨みたい」と米澤監督。また主将の村瀬 佑斗は、「まず失点しないことを目標にして、ワンチャンスをものにできればと思います。甲子園では一戦一戦、目の前の1勝にこだわって、全国制覇を目指します」と、力強く語った。

　数少ない甲子園経験者である捕手の佐藤 佑亮は、「今度は自分が引っ張っていきたい。ピッチャーに合ったリードをすること、打率は5割以上、チームとしては全国制覇を狙いたいです」と語る。

　もう一人の甲子園経験者で、投手と外野手の二刀流である竹井 丈人も、「出場が正式に決まって、全国制覇できる権利ができました。バッターとしては大会を通じてホームラン3本、投手としては、奪三振15を目指したいです」と、語った。

　秋はエースとして活躍した関東一河合 海斗は、「出場が決まって素直に嬉しいです。コントロールに自信があるので、負けない投球をしたい。目標は全国制覇です」と、語る。

　オコエの後を継ぎ、1番センターとなる宮本 瑛己も俊足であり、「甲子園では今までやった中で、一番いい野球をしたい。足を生かして走り回りたいです」と抱負を語った。

　歓喜の輪の近くに、昨夏ベスト4に進出した時の主将であった伊藤 雅人がいた。「この代は大変だったと思います。でも秋は大会を勝ち進むにつれて、まとまりがでてきたように思います。春はベスト4が最高なので、それ以上を目標にしてほしいです」と、後輩にエールを送った。
確かに前の代に比べると目立った選手は少ない。それでも、各選手の身体能力は高く、粒が揃っている。オコエらがいた昨年までとは違う、新生関東一の甲子園での活躍を注目したい。　

(取材・文　大島 裕史)