試合レポート

県立伊丹vs尼崎双星

2016.04.09

エースが力投!4番が一発!

県立伊丹vs尼崎双星 | 高校野球ドットコム

4番・野田未来暖(県立伊丹)

 昨秋、好投手・園田 涼輔(3年)を擁する長田に惜敗した県立伊丹、冬のテーマの1つは好投手を打てるようになることだった。

 しっかり振り込んで、しっかり食べて、しっかりウエイトで鍛えて。その成果は春季大会2試合連続コールド勝ちという成績に表れていた。そしてこの日、地区大会決勝でもじゃんけんで勝てば必ず先攻を取るというチームカラー通り、1回表にいきなり強烈な先制パンチを浴びせることに成功した。

 3番・中佐 卓斗(3年)が二死からレフト前ヒットで出塁すると、4番・野田 未来暖(3年)が打った瞬間にそれとわかる先制のツーランホームランをレフトに放つ。「序盤に点を取ってピッチャーを楽にしてあげようと思って打席に入りました」1ボール2ストライクから見送ればボール球という高めに抜けたスライダーを叩くと打球は一直線にフェンスを越えた。

 打者としてもクリーンアップを任されている先発の中佐は援護をもらってマウンドに上がったが、尼崎双星の1番・後藤 翔(3年)を4球で歩かせてしまう。後藤は2番・池田 哲平(3年)の3球目に盗塁を決め、3番・谷田 稜(3年)のセンター前ヒットで生還。すぐに点差を詰める。

 1点差に迫られた県立伊丹は2回、佐々木 渉(3年)が変化球をうまく合わせてセンター前へ。続く細川 哲史(3年)も変化球の当たり損ないが一、二塁間を破り、板橋 辰汰郎(3年)も4球続いた変化球をしっかり引き付けてライド前に運ぶ。盗塁失敗があり得点には結びつかなかったが、下位打線の3連打でチーム安打数は2回にして早くも5本。冬場に鍛えた練習の成果を遺憾なく発揮した。


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チーム唯一の打点を挙げた谷田稜(尼崎双星)

 そして打撃に機動力を絡めるのが攻撃の形。2回に盗塁を試みるも刺された佐々木は4回にもヒットで出塁すると続く細川の初球にスタートを切る。スローイングに安定感のある尼崎双星の捕手・瀧 胡哲(3年)に再び刺されるが、7回にも猛打賞となるヒットを放つとやはり初球に迷いなく走る。低めの変化球がワンバウンドとなり瀧が逸らす間に三塁を狙うが惜しくもタッチアウト。

 しかし「基本、自分のタイミングで行けた時は行こうと言ってます。好投手が来たら中々打てないので意識づけは徹底して、そこにエンドランを絡める攻撃をしたい」と話す内藤 祐司監督はベンチで佐々木の姿勢に拍手を送っていた。

 やや不安定な立ち上がりだった中佐も2回と3回に許したランナーは四死球によるものだけで4回から6回にかけてはパーフェクト。センター前に抜けそうな打球をショート・小坂 成大(3年)が好守備でさばくなどバックにも助けられ回を追うごとにリズムを取り戻していく。

「序盤はあんまり調子良くなかったですけど、先制点もらって気持ち的には余裕あったんで、徐々に立ち直ることが出来て良かったです」サイドスローからの打たせて取るピッチングが光った。

 1点を追う尼崎双星が最大のチャンスをつかんだのは7回。先頭の江田 亘甫(3年)がレフトにツーベースを放ち、琴浦 崇仁(3年)が送って一死三塁。一打同点の場面を作りこの後さらに二死一、三塁となると7回を初回のホームランによる2失点に抑えていた先発・稲葉 祐樹(3年)に代打・宮脇 佑空(3年)を送るがあと1本が出ず。

 そのまま迎えた最終回、先頭打者として江田が打席に立つ。前の打席でチェンジアップを痛打されている絶対に出したくない打者に対して県立伊丹バッテリーは慎重にアウトコースボールゾーンへのスライダーから入る。そしてこの後もスライダーを2球続けて追い込むと最後もストライクゾーンへのスライダー。江田は4球続いたスライダーに全く手が出ず、1球もバットを振ることなく見逃し三振。キャプテン・板橋の好リードが反撃の芽を摘み1点差で逃切りに成功した。

 点の取り合いを予感させる初回の攻防から一転、2回以降は互いに0が並んだ。コールド勝ち、コールド勝ち、1点差の接戦とチームはいい経験を積んだ。「阪神地区の第1代表として自信を持って県大会も戦いたい」と内藤監督。昨秋のベスト16を超えるベスト8入りが目標だ。

(文=小中 翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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