3年生座談会 市立船橋高等学校(千葉)「準優勝につながった夏へ向けての準備期間」 ・前編
千葉県でも数多くの強豪校があるが、その中でも毎年、上位に勝ち進でいる市立船橋。この夏は千葉黎明、習志野を破り、決勝進出。決勝では木更津総合に敗れたが、投打ともに総合力が高く、まさに決勝進出するに相応しいチームであった。今回はそんな市立船橋の中心選手たちに、新チームスタートから夏の決勝戦までについてお話を伺った。
■登場メンバー
宮 慎太朗:遊撃手 主将 堅実な守備でチームを支える。またここぞというところで一打を見せて勝利に貢献。
橋本勇樹:内野手 勝負強い打撃でチームをけん引
柄澤 侑也:外野手 強打の外野手として1年夏から活躍
八幡 悠耶:投手 制球力を磨き、夏は粘り強い投球を披露
高田 悠太:捕手 強肩と投手の持ち味を引き出すリードで勝利に貢献
自分たちの実力を公式戦で発揮できる心の強さが課題だった
宮 慎太朗(市立船橋高等学校)
――今年はどういうチームを目指してやってきましたか?
宮:負けないチームを目指していましたね。そのために一つのチャンスをものにするチームになれればと思いました。
――秋の大会はベスト8でしたが、振り返っていかがでしょうか。
八幡:やっぱり課題となったのは僕ら投手陣で、打撃面で良い打者が多かったので点を取れたのですが、投手については四球を多く出してそこから崩れていったのが課題でした。
――敗れた相手は木更津総合でしたが、八幡君は投げたのでしょうか?
八幡:3回9失点でした…。とにかく打たれた感じです。コントロールが課題となりまして、甘いコース、甘い高さで打たれました。
――そうだったんですね…。リードしていたのは高田君ですか?
高田:そうです。四球、死球で9個。打たれたのはほとんど真っ直ぐで、そこは僕の反省点ですが、バッテリーと話して課題となったのは、変化球でストライクが取れるかだなと思いました。
――バッテリーはいろいろと課題が残る試合でしたが、相手はエースの早川隆久投手(関連記事)が投げていますが、早川君と対戦してみた感想はどうでしょうか?
柄澤:試合の前から対策していたんですけど、安打は出たものの、チャンスで1本が出なくて点数が入らないのは悔しかったですね。
――それから冬の練習に入っていきますが、チームとしてどういうテーマを持ってやってきたのでしょうか。
宮:チームとしてですが、バットを多く振ること、体作りをしっかりとしてきました。僕は打撃を徹底的に鍛えました。
橋本:僕は体が細かったので食事から変えていって、食事の量を増やしました。
柄澤:僕も食事量や、ウエイトトレーニングの割合を増やして、パワーアップを目指しました。
高田:自分は下半身が細かったので、スクワット、走り込みで下半身強化をしてきました。
八幡:自分は、やはり下半身を安定させて、制球力を向上させたかったので、スクワット、デッドリフト、走り込みを多くやってきました。コントロールというのは投手陣全体の課題でしたね。
――ひと冬明けて練習試合ではどうだったんでしょうか?
宮:練習試合では殆ど負けていないですね、今年だけではなく、去年も練習試合では強かったんですけど、なかなか公式戦で力を出せない心の弱さが僕らの課題でした。
夏へ向けてどんな準備を行ったのか?
八幡 悠耶(市立船橋高等学校)
――春の県大会では3回戦で東海大市原望洋と対決しますが、コールド負けでした。この試合を振り返っていかがでしたか。
宮:力があるチームであることは分かっていましたし、力の差を感じた試合でした。初回、点を取られたけれど逆転して、でもその裏にまた逆転されて。打者はヒット数も打っていたので、打者は悪くなかったのですが、やっぱり投手力が課題なのかなと思いました。
高田:甘いところはしっかりとフルスイングするチームで、打った打球はすべて間を抜けていって、リードしている自分でもわからなくなってしまった試合でした。
――試合が終わった後、櫻内 剛監督からは何か言われたのでしょうか。
宮:この負けが夏の大会ではなくて良かったねといわれたのですが、とにかく悔しくて覚えていないですね。
――秋、春と振り返ると、宮君も話していたようにバッテリー強化が課題だったかと思いますが、夏へ向けて、どういうことをやってきたのでしょうか。
八幡:残り少ないので投げ込んだり、いろいろやっていく中で制球力を付けることを意識してやっていきました。
高田:僕は捕手なので、投手陣の持ち味を生かせるようにしました。八幡はストレートの場合はコースだったり、変化球が良いので、それで組み立てていくことを心掛けました。2年生の渕上 泰樹は投手陣の中で心が一番強いので、それを生かせるリードをしていました。3年生の飯田 啓太は調子が良い日は本当に良い投手で、うまくコントロールで勝負できる投手でした。同じく鍵本 章太は球種が多いので、動かして、打たせて取る投球を心掛けさせました。
4人に共通して伝えたのは、これまで四球を多く出してから打たれることが多かったので、『とにかく打たれてもいいので、四球はなしにしよう』ということです。
――では野手陣は夏へ向けてどういう準備をしてきたのでしょうか。
宮:上位打線は、打てる打者がしっかりと打って点を取ってくれるので、下位打線はやれることをやって、上位打線につないで点を取れる流れを作ろうと思いました。また投手陣は四球を出すことが多いことは分かっているので、僕らはそれを気にさせずに、いつも通りと声をかけてやっていきました。そして守備では何が来るか想定する。たとえばセーフティバントだったり、盗塁だったり。そういうことをイメージしてやっていました。
柄澤:新チームは最初フライアウトが多かったり、つながらない打線だったんですけど、夏の大会が近づくにつれて、低い打球を打っていく打線を目指していきました。
拓大紅陵、千葉黎明、学館船橋相手には思い通りの試合運びができた
座談会の様子(市立船橋高等学校)
――Cシードとして夏の大会に入り、2回戦、3回戦と勝ち上がって4回戦では拓大紅陵と対戦。何か意識していましたか?
宮:去年は初戦負けを味わって、1つずつしっかりと戦っていこうと意識してやっていたので、拓大紅陵だからと思って意識してはいないです。
――この試合を振り返ると、6回表まで1対2で負けていましたが、6回裏に3点を入れて逆転した後は7回裏にも4点を入れました。まさに後半に畳みかける打撃が目立ちました。
宮:練習試合では中押し、ダメ押しができなかったので、大会に入ってからはそれがができるチームを目指そうとやってきたので、拓大紅陵戦ではそれが実践できたかなと思います。
――5回戦でAシード・千葉黎明と対戦しましたが、どんな気持ちで臨んだのでしょうか?
宮:相手はAシードなので、僕たちはチャレンジャーという気持ちを持ってがめつく野球をやろう!と決めてこの試合に臨んでいきました。
――相手は好投手・川口廉投手を擁して、機動力、打撃力も高いチームでしたが、どのような対策を行ったのでしょうか?
宮:まずボール球を振らないことです。川口君は良い投手でしたが、練習試合で対戦した中でもああいう投手はいたので、ボール球を振って相手を助けることはしないと決めていました。
高田:対戦して嫌なチームですから、野手はボールを待つのではなく、動いて捕りにいこうと指示を出しました。投手には、足があるチームだったので、セーフティバントに備えた守備をすること、そしてベースカバーをしっかりやることを伝えました。
――なるほど。それがうまくできた試合だったのですね。この試合、振り返ると、柄澤君も打っていますね。
柄澤:ストレートを狙い球に絞り、ストライクゾーンに来たボールをしっかりと振っていったというのが大きかったですね。
――投打ともに噛み合って千葉黎明を破ると、次は準々決勝で東京学館船橋と対戦しました。
宮:相手投手が良かったので、チャンスはいかして、打撃も上位打線が、良い打線も多かった要所、要所を締めようと思いました。投手陣が頑張ってくれた試合でした。
後編では習志野、木更津総合と戦った試合を振り返りつつ、3年間で学んだことについて語っていただきます。
(取材・写真=河嶋 宗一)
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